Novel-ハイキュー!!-長編@
□1章-@ 過去
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和奏side.
小学校に上がったばっかりの頃、喘息の発作がひどくて、入退院を繰り返していて、1ヶ月の半分も登校できればいい方だった。
久々に登校しても、人見知りの性格から声をかける勇気もなくて友達が作れず、教室にずっと一人ぼっちだった。
そんな夏休み前のある日、事件は起きた。
放課後、ランドセルの中身を確認していると、足りないものがあることに気づいた。
(あれ? きゅうにゅうきがない。かならずもってきてるのに……)
アレがなければ、発作が起きたときに大変な目に合う。私は机の中やロッカー、教室中を探すが見つからない。
(どうしよう、あけたばっかりなのに。なくしたらおかあさんにおこられちゃう…)
「さがしてるのってコレか?」
後ろから声がして、振り向くとクラスの男子数人が居て、リーダーっぽい子の手には私の吸入器が握られていた。
『それ、わたしの。かえしてっ』
近寄って返してもらおうと手を伸ばすが届かず、少し強めに押し返されて尻餅をついた。
『いたっ…』
「やだね。おまえたまにしか学校こねぇし、びょう気とかいいながらズル休みしてんじゃねぇのか?」
『ちが……っ、ゴホッ、ゴホッ……』
(ほっさが…)
"違う"と言い返そうとしたが叶わなかった。
私の目の前にいる男子たちは、どうしていいかわからずにいるようだった。
「おい、マジなんじゃねぇの?!」
「どうする?」
「どうするって…」
木「おまえら、なにしてんの?」
聞きなれない男の子の声が聞こえたと思ったが、私の意識はそこで途切れた。