sword

□こっちを向いて愛しのエリー
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※なんかよくわからない学パロ







目にいたい程の青空に、不健康極まりない白を燻らせる。

もう一度肺いっぱいにニコチンを吸い込めば、やっと気持ちが落ち着いた気がした。


少し冷たいコンクリの壁に身を預けて、ぼんやりと思考を巡らすと、意外と華奢な後ろ姿とか男の癖に香る彼特有のほのかな甘いにおいなんかが頭を過って、またちょっと脈が乱れた気がした。

自嘲気味に笑って目をつむれば、聞こえてきた神経質そうな足音にまた笑う。

噂をすれば何とやら。
どうやら愛しさは想い人を呼び寄せてしまうらしい。

みじんも隠す気なんて無いような、ドアを荒っぽく閉める音に、ここ一応立ち入り禁止なんだけどな、なんて思う一方で彼らしいと微笑んだ。

わざと気付かぬふりで煙草を食めば、不機嫌さを全面に押し出した声で僕の名字が呟かれる。

「…やはりここにいたか。」

呆れと諦めの混ざった口調に顔をあげると、ちょうど逆行で見えにくい彼の表情の中で、すみれ色の澄んだ双眼だけがやけに輝いていた。

「探してくれたの?」

からかうような口調に、端整な顔が歪められた。

「曲がりなりにも生徒会役員のくせに、屋上なんかで不良よろしく煙草吹かしてるやつを放っておく訳にはいかないだろう。」

ほら、と促すように差し出された手を思い切り引き寄せて、彼の薄い唇に噛みつく。

たっぷり10秒味わうと、終わりの合図で舌を強めに噛まれた。

「…、にがい。」

不満を表すように少し尖らせられた口にもう一度軽く触れて、まだ煙を纏っているシガレットを足で揉み消す。

物言いたげな視線素直にまっすぐ受け止めると、少し困ったような表情をしたあと「まだ、やめられないのか」なんて小さな声がこぼれた。

その言葉には何も返さずにゆっくり笑って、そのまま屋上の出口へ歩を進めた。





君が僕を心配して迎えに来てくれる限り、僕がシガレットケースを捨てることはないよ。


なんて口が避けても言えるはずがなく。


本当に僕が中毒なのはニコチンじゃなくて、きみの優しさだってことは医者に見てもらわなくてもずっと前から明確だった。

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