BL

□KEEP AWAY FROM...
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立場の違い❮銀→沖神❯


長年教師をやっていると、誰と誰が付き合ってるっていうのが大体雰囲気で分かるようになってくる。の前に、人気のある先生って奴は、だいたい情報が早い。
俺が前者か後者かってのは問題じゃあねェ…。問題は、俺の好きな奴が、他の誰かと付き合ってるっていう事だ。


「沖田くん、どこ行くの?補習って言ってんだろーが…。」

俺の好きな奴は、生徒であり、その上男だ。生徒ってだけでも世間体とか考えて手ェ出せねーのに、男ってぇと、望みなんか皆無に等しい。彼女持ちのノンケだしな。
今日も愛しい沖田くんに補習だっつって、何がなんでも近付こうとしてんだけど…。コイツの中では単位より彼女なんだろうな。もう肩にはカバンが掛かっていた。
隣には留学生の神楽がちょこんと立っている。こいつが俺の沖田くんの彼女だ。まあ、銀さんから見ても可愛い子だし、沖田くんが惚れちまうのも分かる。ただ、すこぶる悔しい。

「あー、先生…。俺今日姉貴の看病しねーとなんで…。」

嘘だというのはすぐ分かります。先生これでも教師歴○年ですから。なんて心の中で1人呟きつつも、嫌われたくねーから涙を飲んで見送ります。

「…そうか。じゃあ気ィ付けて帰れよ。」
「へーい。」
「先生サヨナラ!」
「……おー、サヨナラ。」

手をひらひらさせると、同じように振り返してくる2人。学校から早く出たいのか、少し小走りに俺から離れていく。
俺は職員室に戻るかと背を向けた。でも、気になって後ろを振り返る。
俺は後悔した。


手を繋ぐ二人の後ろ姿が、長く伸びた二つの繋がった影が、どうも目に焼き付いて離れない。

俺が教師でなく、同じ生徒なら、お前の横に並んで歩くことができたか?お前が女なら、手を繋ぎ歩けたか?
俺が男で教師だから、お前に触れることは叶わねーのか。

痛む胸を数度叩く。霞んだ視界は夕日を直接見てしまったせいにした。


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不完全燃焼!!何が言いたいの自分んん!!
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