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□正月の挨拶 赤緑
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「あら!ゆみちゃん。明けましておめでとう。」

『こんにちは!おばさん!』

「もう、明けましておめでとうございますって言わないとだめでしょう?」

『あ、そっか…』

「いいのよ、気にしなくって。」

『あけましておめでとうございます!』

「うふふ、ありがとう。偉いわねゆみちゃん。」



母に、正月になったから挨拶回りに行こうと言われた。
挨拶回りといえど、レッドとグリーン、オーキド博士しか相手はいない。
マサラはそれほど小さな町だ。

家を出たら、斜向かいに住んでいるレッドの家の前で、レッドのお母さんが新年早々雪かきをしていた。
うちは、挨拶回りしてからにしようと母と父が話していた。

ちなみに父は家で朝ご飯を作っている最中だ。きっと、手巻き寿司の用意をしてくれているのだと思う。
私の家では毎年正月は手巻き寿司と決まっているのだ。



「あ、そうだ。ゆみちゃんレッドに会ってく?」

『あっ…!あ…、えっと…?』


そうだ!と一瞬思ったけど、今は挨拶回りをしているから今すぐには会えないのではないか?
その思いを母に視線でぶつけた。


母はニコ、として「そうね、」と続けた。


「一応グリーンくんのお宅と博士のところに顔出ししたら、ゆみを向かわせるわね。」

「そう、じゃあレッドにもそう伝えておくわ!まあ、多分聞いてるだろうけど?」

『ん?レッド?』



家の窓を見ても特に何もなかった。
レッド、逃げちゃったのかな。でも、あとで会えるからいいだろう。


「それじゃあ、ナナミちゃんのところに行くとするかしら。」

「うふふ。ゆみちゃん、グリーン君に浮気しちゃだめよっ?」

『うわき…?』

「もう!子供にそんなこと教えないでちょうだいな」

「うふふ!」



母とおばさんはうふふふ、とずっと笑いあっている。
私…変なことしたのだろうか。バカにしている笑いだったら悲しいなぁ…。



コンコン



母がグリーンの家のドアにノックをする。
ナナミ姉ちゃんが開けてくれたようだ。ナナミ姉ちゃん可愛い。



「新年あけましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくね。」

「わざわざありがとうございます!あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。」

『ナナミ姉ちゃん!あけましておめでとう!』

「あら、ゆみちゃんも一緒なのね?あけましておめでとう。グリーンいるけど呼ぶ?」



返事をする間もなくグリーンはやってきた。
髪の毛は安定のツンツンで、まだパジャマ姿だからミスマッチしている。
なんかへん。グリーン。



「ゆみ…!?来てたのかよ…!声がしたからビックリしたぜ。」

『あけましておめでとー!グリーン!』

「おう。今年もよろしくなー」



起きたてで眠たいのか、あくびをしながら目をこすっている。
普段は意地っ張りで色々な意味でツンツンしているグリーンだが、
パジャマで、あくびをしていて、目をこすっている。いつもと違う感じで新鮮。
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