*生前*

□生前1
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私は六弐。家族で異国へとやってきたところ。



小さな村にお世話になることになり、まだ幼かった私はこれからの生活に期待を抱いていた。




周りとは全く違う異国の服。
いつもとは全く違う風景。
見たこともないような景色。



この村の子供たちは珍しい異国から来た私に少し違和感を抱いたようだが、一緒に遊ばせてもらったりと、自然と打ち解けていけた。




ある時に、いつものように村の子達と遊んだ帰りに

村の外れの方にある物置の影に子供がいるのが見えた。



なんだか気になり、気づくとそちらへ向かっていた
貴「你好、初次见面!」


少年「…??」


貴「えっと、…は、はじめ、まして?」


まだあまりこちらの言葉は話せないこともあるため、ぎこちなくなってしまった


少年は不思議そうに見るものの、無表情で何も話そうとはしない。


貴「あなたは、どうして、ここにいるのですか?」


少年「…」


貴「まだ、あなたを見たことは、ありませんでした」


同じ年頃に見えるのに、遊ぶときも見たことがなかった。


少年「…私には、許されていないからです」


貴「許し?为什么?(どうして?)」


少年「孤児だからです。他の人間と同じ様には、暮らしてはいけない。」


貴「みなしご…」


みなしご、誰か言っていた気がする。遊んでいた時、ふと誰かから聞いたような…


彼がそうなのか?他の人と変わらないのに?


貴「あなたは、ひとり?」


少年「…ええ」

貴「ひとりは、さみしい。」


貴「お友達に、なりませんか?」


少年「友達、ですか?」


貴「友達は、一緒にいれる、もの」


少年「ですが、私は許されては」


貴「何が違うのですか?あなたも私と同じ。許しなんていらない。私が友達になりたいだけ」


少年「…」


貴「名前は、なんていいますか?」


少年「丁、丁です。」


貴「丁。ありがとう、覚えました」


少年「あなたは?」


貴「私は、六弐!これからは、友達。丁寧な言葉も、いらない」
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