*生前*
□生前2
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あれから、2週間と少しばかりたった。残された時間は少ない。
貴「晚上好(こんばんは)、丁。親が村の集まりでいないからまたきちゃった」
丁「その事、なんですが」
打ち明けようと、思う。
丁「1週間後、私は生贄として捧げられます。その儀式の話をしているのでしょう」
六弐は一瞬で身体が冷えていくのがわかった。
今彼はなんと言った?生贄?儀式?
それを行えば、彼は、死ぬ?
貴「っ、なぜそれを早く言わなかったのですか!」
丁「優しいあなたなら、きっと何かしてくれると思ったからです」
貴「、なら!」
丁「私の為に何かを欠けさせたくはない。あなたは大切な親友である限り」
貴「…!」
私は堪えきれず、涙を流してしまう。
貴「どうして…!丁ばかりこんな仕打ちを受けなければいけない!
なにも悪いことはしていない!」
丁「…そうするしか、な<<ゴトッ>>主人が帰ってきたようです、早く!」
貴「う、うん」
涙をぬぐいながら、私は家に帰るしかなかった。
______まさか、私の為に涙を流すとは思っていなかった。
丁「余計、生きたくなるでは、ないですか…!」
寒い冬空の下、体を抱き締めるように涙を堪えながら
優しい、少女のことが頭から離れなかった。
逃げ出してしまいたい。本当は、彼女を連れ出してでも逃げたい
そんな勝手な思いを振り払うように、寝よう、寝ようと自分に鞭を打った。