背中は預けた。。。
□この出会い、最強。。。
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「何ここ…」
美丘が呟く。目の前は騒然としていて、人では無いものがうじゃうじゃと列を成していた。
「動きが遅いな…」
「ハンターやC-ウィルスの感染者は走ったりしてたけど…T-ウィルスってこんなものなのかしら…」
「こんなものって言ったらラクーンシティの市民にどやされそうだが、まぁ、こんなものだろう。一般市民でもさっさと逃げれば追いついてこれまい。ただ、感染力は強い。侮ってたら化け物行きだ。」
一歩一歩踏み出して歩いて行く。すると、背後からアンデッドがゆっくり近づいてきていた。物陰に隠れていてクリスは気づいていない。美丘だけは違った。背中をクリスに預けて銃を構える。
そして物陰から姿を現す瞬間に放った。
咄嗟にクリスが振り向く。
「来てたのか…?」
「ええ」
「気配がしなかったが」
「それよりも前になんとなく来るような気がして張ってたの」
また来た…、とそう呟いて奥に銃弾を放つ。
ウォォォオオア!!!とうめき声が聞こえて、バサリっと倒れる音がした。
「センサーが働いてるような感覚だな・・・」
「なんて言うんだろう。昔からなんだけど、こういう目に見えない距離から察知するのが得意でね。お化け屋敷なんて行ったら役者泣かせだって追い出されたわ。」
「そうかよ。ま、ここでは大いに役立ってるぞ。じゃぁ、背後は任せた。」
「ええ。先陣頼むわ」
そうこうして行くうちに、目の前に古びたコンクリートの建物が見えてきた。
「入るぞ」
「ラジャー」
すると、イヤモニにキャッチが入った。
『クリス?美丘?こちらジル・バレンタイン。ちょうど裏手に居るんだけど、一旦中で合流しない?』
「こちら美丘。そうね、一旦落ち合いましょう。」
「了解」
扉を蹴破ると、中は閑散としていた。しかし、先ほどまで人が居たような証拠はあった。生温かい血が至る所に付いていた。
「嫌な臭い…」
「まだましだぞ。」
クリスがニヒルに笑いながら先頭を切っていく。
クリスが銃のリロードチェックをしていた時だった。目の前から突然何者かが這い出してきた。
「クリス!!!」
「わかったよ」
サムライエッジが音を鳴らせる。動かなくなったモノを調べると、ここの職員であることが判明した。首から職員の名札とコードがぶら下がっていた。
「このコード、使えそうね。」
「だな」
「にしても、発症が早い。」
「確かに来て早々、という気はするが、実際事件が発生して5日経っている。発症していてもおかしくない。」
「そうか。時間が経ちすぎていたのね。」
「とりあえず、中でジルたちと落ち合おう。それからどうするか考えよう」
そうね、と立ち上がった美丘が歩き出したのを確認してから、クリスはもう一度しゃがんで、先ほど倒したアンデッドのポケットから何かを取り出した。
そこには、クリス・レッドフィールド、ジル・バレンタイン、そして美丘・レインフォードとその他のB.S.A.A職員の名前が書かれたメモと、血にまみれたUSBカードがあった。
「ったく、B.S.A.Aも漏えいが甚だしいな。」
クリスは、無造作にポケットに詰め込んで美丘の後を追いかけた。