HQ/影日

□Look at me!!
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最近、おれのこと見てくれない。



ぷくーっと頬を膨らましながら考える。


おれと影山は、こいびと、っていう秘密な関係になってる。

つい、おれは影山が好きなんだって皆に言いたくなるくらい影山のことを愛してる。

そんな影山が最近、一緒にも帰ってくれないし、見てもくれない。

誘っても、「用があるからまた今度な」って断られるし。


これはゆゆしき事態と察知し、恋の相談窓口、山口に相談してみた。

「…なあ山口!どうしたら影山はおれのこと見てくれる??」

「……えっ、どうしてこんなことに?」

「…影山、最近おれと帰ってくれねーし、振り向きもしねーの!」

「…ああ、それで?」

「だから、いつでも見てくれるようにしたい!!」

「…うーん……」



「女装すれば?」



なぜか月島が割り込んできて、しかもストレートに恥ずかしい言葉を繰り出してきた。

みるみるうちに頬が熱くなる。

「むり無理ムリ!!そんなのできない………」

「たしかに日向って女の子っぽいところあるし、できると思うよ!」

「…えぇ〜!!」

「…制服なら用意してあげるから」

「……うぅ…それで影山が見てくれるなら、やる」


*
「はい、制服!」


数分もしないうちに、月島が差し出した女の子の制服を手に取り、カーテンを閉め、着替えてみる。


自分で思ってしまった。
悔しいけど、かなり似合っている、と。


けど、スカートがあまりにも短くて、筋肉がついている太股が、半分くらい見えてしまっている。

カーテンを開け、2人に見せる。


「…ほんと日向似合うね〜」

「完全に日向女の子だよね!ツッキー!」

「うぅ…やっぱ恥ずい……」

着替えちゃいけなかったかなぁ…

で、でも影山のためだ。ここで負けるなおれ!

「じゃ、がんばってね〜!」

2人に見送られ、廊下を歩き出す。


*
思ったよりも、女の子に似てるせいか、男子から冷やかされることなく、影山の教室まで辿り着けた。

「影山!!」

いつもより、1トーン高めを意識して、呼んでみる。



「………!!…なんだ」

影山、顔赤くなってる!上手くいきそう!

「ねぇ、ちょっときて!」

「…あ?おい、ちょ、待て!!」

強引に引っ張って、視聴覚室まで連れていく。

視聴覚室は先生も生徒もなかなかこないから、一種の穴場スポットだ。

影山を押し込んで、鍵を閉める。


「…なあ、ひな」

「…なんでおれのこと見てくれないの!!?」

「……は?」


スパッと本題を聞く。

「…だって最近、おれのこと振り向きもしないし、一緒に帰ってくれない」

「…おれ、影山が好きなのに、これじゃおれだけが好きな感じで…」

「……俺だって、」


「俺だってお前のこと好きだっつーの!!!!」


「…え、じゃあ…なんで」



「…親が、暗くなっているから早く帰れ、ってうるさいんだよ」



親が結構な心配性らしく、おれとは毎日でも帰りたかったけど、ゆっくり帰ることになるので、親が心配してしまい、電話がうるさくなるから、避けてしまったのだという。

もっと真剣な話だと思ってたけど、実際くだらない話で、へなへなと座り込んでしまった。


「…そ、そんな、ことで……」


「…でも、嬉しかった」


「…俺が避けてしまったから、日向に嫌われるかもしんねぇって思ったけど」



「ここまでアピールしてくれて、お前に嫌われてなく、ちゃんと俺のこと好きだっつーことが分かって、よかった」



「……!!く、くっそお…」

みるみる頬が赤くなる。

影山に負けたってこと信じるもんか!!

end*
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