HQ/影日
□1・2・3でA battuta!
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音楽の授業で、
「この曲の譜面の上に(a battuta)と書かれている言葉があります。」
「これは、(ア・バットゥータ)と言って、拍子に合わせてという意味です」
「この曲は非常にリズムを当てはめることが難しいので………」
気になる言葉があった。
*
「影山!一緒に帰ろうべ!」
「ああ、いいよ」
最近、おれは影山と一緒に帰ることが多くなった。
バレー部の皆と別れた後も、山近くのバス停までは影山と一緒の帰り道なので、自然と一緒に帰ることになった。
影山が前を歩いて、おれがその後ろをとてとてと付いていく。
元々、友人と一緒に帰ることが多く、長く話していたかったから、普段の歩調は遅めなのだ。
対して、影山は、中学時代友人という存在がなかったせいなのか、早足で家に真っ直ぐ帰る。
そのせいで、おれは影山についていくので精一杯。
前に歩くのが早いって文句言ったけど、「これで早いと言うのか?」って返された。
離れた背中を見て、思う。
一緒のペースで歩きたい。
もっと近づけるし、もっとそばにいれる。
影山の温もりを感じたい。
*
そう考えた後のあくる日。
ついに実行することにした。
といってもそんなにすごいことはしない。
なちゅらるにいくことにした。
「影山ー!」
「……ん」
最近は影山、と言うだけで一緒に帰ってくれるようになった。
大王様と大きいスパイカーとのコンビでよくいわれる、阿吽の呼吸?ってやつかな?
「…おい、さっさと帰るぞ」
「…あ、まって!!」
「………?!」
「……一緒に同じペースで歩きたい」
「……ひなた」
「おれ…もっとそばで、もっと影山を感じたい……」
「…っ…わーったよ」
影山がおれと同じ歩調で歩いてくれる。
繋いだ影山の手は、影山の性格とは思えない、子供のようなあったかさで、気持ち良かった。
これ以来、影山はおれに合わせて歩いてくれるようになった。
いつも影山がおれにかあっと頬を紅く染めているのは影山には内緒だ。
end*
ハイキューの日おめでとう!
8/19 星渡