HQ/影日
□Syoyo Hinata
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そんな不毛な喧嘩を他所に、周りの民衆がざわめき出した。
「…おい!あれ見てみろよ!」
「馬車がやってくるぞ!」
「…中にはきっとキヨコさんがいる…!」
「マジか…これは見逃してはならないぜ!」
どうやら、この街に馬車がやってくるようだ。
「…なんだ?」
「…あれ、知らなかったんだ。今日、ここに兄弟と政府の者が泊まりに来るんだってさ」
「…………」
*
「…………」
「大丈夫だよチビちゃん。ここの宿はかなり高級でね、満足できると思うよ?」
そんな言葉も上の空。
チビちゃん、と呼ばれた少年は、ただ揺られるままに馬車に乗っていた。