memory1
□rainy
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雨が降りそうだ。
窓から見える空は暗い。
「アスラン、どうしたの?ぼーっっとして。」
キラの声でアスランは我に返った。
「いや、なんでもないよ。」
「そう?なら、いいんだけど・・・。」
そう言いつつも、キラは心配そうにアスランを見ている。
アスランは苦笑してキラの髪を優しく撫でた。
「本当になんでもない。そんな顔するなよ。」
「だって、アスランさっきから上の空って感じで、僕に全然構ってくれないんだもん。」
いじけたように頬を膨らませるキラが可愛くて、アスランは思わず目を背けた。
キラはすぐに人を虜にしてしまう。
無垢な瞳で、無自覚な優しさで。
誰にでも笑顔を向けて、傷つけられても微笑んで。
「大丈夫・・・・。僕は大丈夫だから。」
それは本当?本当にキミは大丈夫なの?
苦しくないの?辛くないの?
誰にも、見せたくない。渡したくない。
どんなにそう思ったって叶わないと分かっていても、アスランはいつも言ってしまう。
「キラ。ここから出ないでくれ・・・。」