memory1
□rainy
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ここは二人の楽園?
そんな綺麗なものじゃない。
(檻だ・・・・。)
もう閉じ込められている。
鍵は何処にいったのか。それとも、はじめからなかったのか。
「アスラン・・・。僕はここにいる。」
泣きそうな顔をして、それでも微笑みながらキラは言う。
「キラ・・・・。」
縋る様な瞳でアスランはキラを見つめる。
いなくならないで。終わりが来るその時まで、俺の隣で笑っていて。
キラがアスランをそっと抱きしめる。
「そばにいるから。ずっとアスランのそばにいる。」
アスランがきつくキラを抱きしめ返した。
「愛してる・・・。愛してる、キラ。」
その”愛してる”が歪で、壊れかけた言葉だという事に、アスランは気付かない。
キラの首には赤い首輪が。
足首には黒い足枷が。
もう天使は大空に羽根を広げられない。
降り出した雨の音に紛れて、
小さく鎖の擦れる音がした。
fin