過去拍手
□第6回
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愛の告白
「旭先輩、見てください!桜が満開ですよ!」
桜並木で少し前を歩く彼女が桜を見上げながら俺の名前を呼ぶ。
「休みの日ですけど、こうして人の少ない中、ゆっくりここを歩けるんだったら、部活も悪くないですね。」
彼女はくすっと笑いつつ俺の表情を覗き込む。
「あ、ほら先輩。菜の花も咲いてますよー!」
少し先の桜の木の根元に菜の花が綺麗に黄色い花を咲かせていた。
「春ってどうしても桜に目が行きがちですけど、こうして下を見るといろんな花が咲いてますよね。」
菜の花を愛おしいそうに見つめつつ彼女はそんなことを呟く。
「たんぽぽやレンゲにすみれにチューリップ!」
彼女は周りを見回しつつ、目に付いた花の名前を言っていく。
「先輩はどの花が一番好きですか?」
「そうだな…。」
俺も彼女と同じように辺りを見回す。
「俺はコレかな。君に一番似合いそう。」
そう言って真っ赤なチューリップを一輪、彼女の前に差し出す。
「俺は貴女のことが一番好きです。」
真っ赤なチューリップとともに貴女への愛を告げるよ。