ツインテールと歪んだ日常

□第三話
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張間美香のストーカー物語はなかなかなレベルのようで、一目惚れした男子の家にピッキングで忍び込んだり旅行先を事前に調べ、勝手についていった挙句『誘ってくれてありがとうございました!』と、脳内で事実が勝手にねじまがる。
そんな性格の上に成績良好で家も金持ち。
今回来良に入学するにあたり月十万を超える部屋を借りたそうだ

「(なんでもありだな……でもまぁストーカーレベル的には驚くほどでも無いかな)」

と、空は遠い目をしている
空の知る最大レベルのストーカーは惚れた人を追って次元を飛び越えたり、文字通り異世界の技術を使い自分の家と相手の部屋のクローゼットの中の空間を繋げちゃったり相手のパンツを無断で持っていき自分のパンツを代わりに置いてったりする(本人曰く物々交換)というぶっ飛んだストーカーなので今更そのレベルでのストーカーでは驚かない。

で、そんな張間美香は試験の日に矢霧誠二に一目惚れをして誠二の家に通いつめる。が、入学式前日に交際をハッキリ断り、警察を呼ぶと脅しつけ、それ以降は姿を表していないということなのだそうだ。

「電話は繋がらないの?」
「通じません……メールするとき以外電源を切ってるみたいで」

その後あれやこれやと張間美香の失踪について話していたのだが飲み物を追加し、デザートを頼んだりした辺りで綺麗に話題が流れ始めた。
こうして話している間に鋭い杏里が空の話し方が実際は違うことを見抜き、空は正臣に使うのと同じ口調を杏里に使うことになったのだった。










「あの……今日は本当にありがとうございました」

別れ際杏里は改めて頭を下げた。
店の代金は空と杏里で7:3の割合で払われた。
杏里は自分の分は自分で払うと言い張ったのだが割り勘の時にメニュー名を告げて払う方式の店だったので空か何個か杏里の分を自分の分として会計してしまったのだ。

「別にいいよ、話したのは初めてだけどもう友達だし、これからクラス委員も一緒にやるんだから。改めて、これから宜しく杏里。」

空の言葉に嬉しそうに微笑んで杏里は頷く

「でも、私は前から空さんのこと知ってたんですよ」
「へ?」
「入学届けを出すときに、受付に名前をチェックする一覧表みたいなのがあってそこで、カッコいい名前だなっておもってたらそこにチェックする人がいて」

なんとなくさっき聞いた話ににている気がしてきた空が「そうなんだ」と相槌をうつ

「それで……今日その人に助けられました。」

空の思考が固まる。が、よくよく考えると杏里がストーカーである感じではないって事はえっ!?俺どういう対応するのが正解なの!?
真顔で頭のなかパニックである。
が、すぐに杏里がネタばらしをする

「冗談ですよ」
「え……」
「私みたいなのに付きまとわれたら迷惑ですよね、私はストーカーじゃないから安心してください」

からかわれて笑って普通の友達のように会話して別れた。




















杏里は空の背を見つめて呟いた

「でも好きだと思ったことは本当ですよ」
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