ツインテールと歪んだ日常

□第二話
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来良学園は、南池袋にある共学の私立高校だ。
敷地面積はそんなに広くないものの、限られた面積を最大限に利用したその造りは在学生に決して狭さを感じさせない

高い校舎から見える60階建てのビルをボーっと見ながら空はかなり緊張していた

「(自己紹介、失敗しないようにしないと)」

竜ヶ峰という名字なので自己紹介は最後のほう。
クラスメイトの自己紹介を聞き、最も印象的なのは園原杏里と名のった女子生徒だった。
消え入りそうな声だが透き通るような響きをしたその声がとても印象的だった。
最後自分の番に自己紹介したときのクラスメイトの反応はまぁ、お察しください

「(前みたいに部活のアンケートとかないしツインテール部とかいわなくて本当によかった。)」

このクラスの不思議なところといえば自分の真後ろの席。張間美香という女子生徒が入学式早々欠席だったことだろうか。
何かやむにやまれぬ事情があるのか、担任は理由を言わなかった。

つつがなくHRが終わると隣のクラスになった正臣が迎えに来た。
私服が認められているこの高校で空のように指定の制服をきちんと着ている者は稀だった。
正臣も指定のブレザーだけは羽織っているが傍目からみてこの二人が同じ高校に通っているようには見えない

「今日はどこいく?昨日は遅かったし全部まだ案内してないしさ」
「うーん。特に希望がないなぁ」
「じゃあ本屋いこう!いっぱいあるぜ」

そんなこんなで今日も正臣に流されるように池袋の街をさ迷い始める
ボケーっと池袋の街を見ている空は目を離すと何処かにつれてかれそうで、正臣は手を繋いで引っ張っていく
そんな正臣に突然声がかけられる

「紀田君じゃん。」
「いやいや、久しぶり」
「あー、狩沢さんに遊馬崎さん、どうもです」

そこにたっている男女二人組は、正臣の知り合いらしい
二人とも、やけに青白く、男の方はヒョロっとしていて重そうなリュックを背負っている。
空を見た二人組は目を輝かせて詰め寄った

「「リアル初音ミク!!!!!」」
「へっ!?」










とりあえず今度会ったときにその初音ミクというキャラクターのコスプレをすることで解放してもらった。
二人はしきりに初音ミクにするには胸が大きすぎる。と言っていた。
空はつい明後日のほうを向いてしまった。

「凄い人達だったね。自己紹介できなかったなぁ」
「あぁ、まぁ言ってることは呪文かなんかだと思って聞き流しとけ。自分の知ってることは他人も知ってて当然って考えるタイプの人だから」

正臣に女の人が狩沢、男の人が遊馬崎だと教えてもらい、本屋(実際はアニメイト)で初音ミクというキャラクターのビジュアルを教えてもらった。

「いろんなこと知ってるね、正臣は」
「まあな!あらゆる話題に通じていれば大抵の女と話し合わせられるからな!」
「じゃあ「ストップ、お前のツインテールについての語りは流石についてけない」むぅ。」
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