剣と騎士の童話

□第三話
1ページ/6ページ

運命の宣告から2年。
鋼鉄の浮遊城アインクラッドは七十三層までの攻略が終わり、僕を含めた最前線を戦う『攻略組』と呼ばれるプレイヤー達は七十四層の攻略を進めていた。
アインクラッドの各層には『迷宮区』と呼ばれるエリアがあり、そこには強力なモンスターと最奥部にある次の層へ通じる階段を守護するボスモンスターが待ち受けている。
第百層まであがるにはその迷宮区の攻略を百回分繰り返さなきゃならない。

とはいえ、プレイヤー全員がモンスターのいるフィールドや迷宮区にいるのではなく、現実と同じように『職人クラス』と呼ばれている人たちもいる。
職人は武器や防具さらには料理人や釣り師まで、非戦闘要員ながらもプレイヤーをバックアップしてくれる重要な人たちである。
因みに僕は攻略組だが、ある理由により職人クラスとしても生きていける。
だけど基本的には自分のためにしかスキルをつかわないので残念ながらといったところか。(因みに自分の服は全て裁縫スキルによる自前)

で、今僕が向かってるのは五十層の《アルゲード》と呼ばれる都市にいる『商人クラス』のプレイヤーのもとだ。
商人クラスとは読んで字のごとく皆商人なのだが、職人が兼任してたりプレイヤーメイドと呼ばれるプレイヤー製のアイテムの委託販売してたりとお金に関しては彼らがレートを握っていたりする。

さて、目的地についたのだが先客がいるなぁ。なに売ろうとしてるんだろってあれは

「《ラグー・ラビットの肉》だ!キリトさん、僕にそれ売ってください!」

っとつい後ろから声をかけたせいか《黒の剣士》の異名をとるトッププレイヤーのキリトさんは驚いた顔で振り返ったっと僕の手をとり

「シェフ捕獲」

と、言ったのだった。あれ?売るんじゃなかったの?

「グリムじゃねぇか、今回はどうした?」

彼はこの故買屋の主エギルさん
彼にはよく僕がつくったいらない武器とか服とか買い取ってもらっている。

「あぁ、また要らないのがいっぱいできたから売りに来たんですけど……キリトさんシェフと、わっ!」

と、唐突に後ろから衝撃。視界の端にみえた栗色の髪で僕に突進をしてきた人の正体を知った。

「グリム!!久しぶり〜」

彼女は僕の数少ない友達《閃光》のアスナさん。
攻略組にも数えられるかなりの女性実力者。
このSAOはリアルの顔をアバターとして使っているのでアスナさんほど綺麗な人となるとかなり限られてくる。

「アスナ、グリムにいつまでくっついてるんだ」

っとキリトさんがアスナさんを僕からひっぺがす。
なんだかちょっと機嫌悪そーな声だったが、考えてみると話の腰がおれた形になったのでしょうがない。





「(本当いつまでグリムにくっつく気だったんだ)」
「(あら?キリトくん嫉妬?男の嫉妬は嫌われるのよ♪)」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ