JoJo

□時は刻まれない
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時は刻まれない







君はいつだって我儘ばかりだ。
そう、今だって。
「そろそろティータイムにしたいんだが」
「ああ……無理だよ。何を言っているんだディオ」
そう、永久に時が止まってしまった。なぜか僕らだけ、動けるのだ。
「ほうら、時計を見ろ。大体3時だ。少々過ぎているがな」
と、大きな時計台を指差す。3時21分。
「まるであの帽子屋みたいじゃあないか」
そう。不思議の国。懐中時計が止まった帽子屋とうさぎ。
ふたりの永遠のお茶会だ。
「上等なバターを食った覚えはないがな」
そう言って笑った。僕もつられた。
ディオは最近__この"不思議の国"で過ごしている間、よく笑っていた。前はむすっとした顔の方が多く、笑うと言っても嘲るような笑いだった。

ディオが笑うと、僕は嬉しい。

そして、僕は疑問を口にする。
「茶葉はどうするんだい?」
「……その辺から『借りて』くればいいんじゃあないか?」
この場合の『借りる』は盗む、ということ。久遠に止まったこの世界では、窃盗にも誰も気づきようがない。
あくまで僕たち以外は、だが。
「ああ…………本当の紳士を目指している君には、無理なのか?」
ああ、君のためならしたっていい……。と言いたいところだが、やはり紳士としては盗みは悪いことだ。
そこで、僕はある提案を持ちかけた。
「そうだね。紳士を志す僕として、悪いことは極力したくない。でも、君の願いは叶えてあげたいんだ。
そこで……ディオが自分から僕にキスしてくれたらいいよ」
「……?!お前ッ……どっ、どういう理論なんだッ!?」
やっぱり。動揺すると思った。いつも愛を与えているのは僕だ。彼から好きだだの愛してるだのなんて言葉は、数える程度しか聞いたことがない。
……情事の合間には素直になるが、それはノーカウントとして。
「僕を愛してくれよ、ディオ」
「………___ッ!」
顔を赤らめて近寄ってきた。
「すっ……少し、屈め」
彼は、本気だ。僕は素直に命令に従った。
「ジョジョ、…………こういうときは、目を瞑るものだぞ」
テンプレート。ここまではいいのだ。
「ジョ……ナサン。……これからも…………ずっと一緒にいたい……愛してる」
僕をファストネームで呼ぶディオは珍しい。
落とされたキスは、頬で。少々物足りない気がするが、これがきっと照れ屋なディオの精一杯。
「うん……。君の気持ち、伝わったよ」
目を開ける。いつもは陶器のように白いディオの肌、今は耳まで林檎より赤い。
「でも、恋人同士のキスだから唇にしてほしかったな」
「う、煩いッ!生憎あれが限界だ!!」
そうか。一呼吸おく。
「でも、次のためにお手本をしてあげるよ。さあ、目を閉じて」
そして君は不平を言う。
「なんだ!終わりではないのか?!」
我儘な僕で、ごめん。でも、いつも我儘なのは君なんだから、今だけごめんね?
「ねぇ。目を閉じてよ」
でもちょっとだけ強引に言うと、君は素直になるよね。
「……わかっ……た」
噛みつくようにキスをして、舌を絡めて。息が口の狭間から漏れ出す。
僕のディオはこんなにも愛おしい。
……でもいつか、時が動き始めたとしたら__
唇を惜しくも離すと、ディオの余裕はすっかり無くなっていた。息切れだ。
……もし、そのときが来たら__
「んっ……がっつきすぎだぞッ……ジョジョ……ふぁっ…………」
「ふっ……はっ……ごめん……ね?」
とろとろの目が、こっちを睨む。
「____ッ!!ジョジョのマヌケっ!阿呆!このディオに何してくれるッ!!」
ああ、やっぱり。罵声と怒号が飛んできた。彼が怒るのにも無理はない。
「全くッ!万年発情期めッ!」
……彼は僕から、離れていってしまうんだろうか__
「何をボーッとしているッ!?約束通りさっさとティータイムにするぞ、マヌケっ!」
「その……ディオが、かわいかったから…………」
「な、何を言う、マヌケ……!」
止まった世界を永遠に旅する、冒険者。
さて、彼の機嫌をどうとろうか……。

End?

(僕が美味しい紅茶をいれるから、許してくれないかなぁ……)
(ミルクティーがいいが、砂糖はいれるな。茶菓子はクッキーがいい。味は好きにしろ)
(じゃあチョコレート)
(……お前はいつもそれだな)

***

くおおおおおおおおおおjd書くぜええええええ
ってやってできたやつです。
このサイトで一番(今んとこ)長い話だ……やばばい
ご閲覧ありがとうございました(人''▽`)

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