JoJo

□jジョナサン誕生日
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ぼくのささやかな誕生日会が終わった後だった。
「冷たいね」
「冷え性なんだ」
彼の体温は冷たい、手を繋いだからわかる。さらに態度もひねくれて、冷めきっている。でも、こんなにも僕の義弟はいとおしい。
「僕があっためてあげる」
僕の手は、昔から温かい。冷たい手を包んで、にっこりと笑う。まぁこれがまた、びっくりするほど冷たいのだ。僕の手の温度とディオの手の温度との差もあるだろうが。
「悲しいくらい冷たいね」
「悪かったな」
「いいんだ、僕があったかくするから」
「……」
彼は返事をしなかった。それどころか、僕を哀れむような目で見ていた。
僕は話題を変えた。
「ディオの誕生日、いつなの?」
「さぁ。十歳くらいということしかわからないから」
誕生日がわからないなんて、なんて悲しいことなんだろう!
パーティーが開けないじゃないか。
そこで僕は、あることを思い付いた。
「じゃあ、ディオがジョースター邸に来た日、誕生日にしていい?ディオの誕生日会を開きたいんだ」
それなら、正確にわかる。
「……別にいつだっていい」
そっけなかったが、心なしか嬉しそうだった。
「楽しみだなぁ、誕生日プレゼントは何がいい?」
「ずいぶん気が早いな……」
楽しいことは考えた方がいい。
「いいじゃあないか。で、何がいい?」
「なんでもいいのか?」
「ん、と……あまりにも高いものじゃあなければ」
出来るだけ現実路線がいい、とは言えないけど。
「なら、時計」
もしくは、ジョジョがほしい。
そう小さな声で聞こえたような、気がした。
「え?僕が欲しい、って言った?」
「……マヌケが。遅いんだから早く寝かせろ」
「あ、ご、ごめん!明かり消すね!」
すっかり忘れていた。慌てて部屋から出る。
「good night、Dio」
「ジョジョも、good night」
がちゃり。施錠の音がきこえた。
そして、僕は先程のディオの欲しいものについて考えていた。
『ジョジョがほしい』
それって、どういう意味だろう……?
ベッドに入ってからも、そのモヤモヤした気持ちは消えなかった。





(気づけよ……マヌケ)

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