魔法騎士レイアース
□ベストポジション
1ページ/1ページ
これは、男性が羨むベストポジションに収まる白い生き物の視点からのお話。
彼の名はモコナ。元魔法騎士たちの水先案内人。精霊でもない精獣でもない、白くふわふわのプリメーラ曰くほえほえ顔をした謎の生き物。
セフィーロ城──城内。今日も彼はベストポジションという特等席に収まっていた。
男性が羨むベストポジション──それは、女性の腕の中。
この白い謎の生き物は、大抵女性の腕の中に収まっている。
今は、城内の廊下を歩く創師プレセアの腕の中に収まる。
腕の中で、プレセアのふくよかで柔らかく、温かい胸の膨らみに顔を埋めた。
「ぷぷぅ〜。」
カルディナの妖艶な甘い香りとは違い、プレセアは優しい甘い香りする。
どっちの香りも好き。
「今日はヒカルたちが来るわよ」
「ぷぅ!」
プレセアはにこにこ笑いかけながら、腕の中に顔を向けた。
「嬉しいのね、モコナ」
「ぷぅぷぅ!」
大好きな魔法騎士たちの訪問を知り、自然と声が上がた。
「今日はウミが、けーきを焼いてきてくれるんだって。楽しみね」
「ぷぷぷぅ〜!」
海が焼いて来てくれる甘く美味しいケーキを想像して、テンションも上がった。
その時、大好きな少女たちの気配を感じた。
「ぷぅ!」
「どうやら、来たようね」
プレセアも三人の気配を感じたようだ。
早く逢いたくて、プレセアの腕の中から飛び出し彼女たちの元へ向かった。
★
「ぷぷぅぅ〜!」
「モコナ!」
両腕を広げた光の胸の中に、勢いよく飛び込む。
光は笑顔で受け止め抱き締めてくれた。
「ぷぷぅ〜」
光の胸に顔を擦りつけた。
一番好きな光の香りだ。
光の匂いは、太陽に明るい彼女のように太陽の香りがする。
そして、その香りのする光の腕の中が一番のお気に入り。
プレセアもカルディナも海も風の腕の中ももちろん好きだが、一番好きなのは光の腕の中。
それは、光が魔法騎士であった時から変わらない。
「ぷぷぅ〜。ぷぷぅ〜」
お茶会がはじまってからも、光の腕の中から離れなかった。
★
「本当にモコナは、光のことが好きなのね」
「本当に。幸せそうに眠ってらしていますわ」
お茶会がお開きなった頃、光の腕の中で穏やかな寝息を立て幸せそうに眠る。
三人は微笑みながら目線を、幸せそうに眠る彼に落とした。
「どんな夢見てるんだろう?」
「さぁ。でも、いい夢なんじゃないかしら?」
「そうですわね。こんな幸せな顔をしてらっしゃってますから、きっと」
三人は顔を見合わせて、くすくすと笑い合った。
それから、白くふわふわな謎の生き物は、深紅の髪の少女の腕の中で幸せな夢を見て眠った。温かくお日様の香りに包まれながら。少女の元に、彼女が一番大切に想う黒髪の剣士が来るまで。
──終