ネオロマンス短編小説

□子供の巻
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 それは、突然の出来事だった。
 あかねは天真、イノリ、永泉、泰明とで市に買い物に出かけていた。
 土御門に残っていたのは頼久、詩紋、友雅と言う珍しい組み合わせであった。
 三人は特に喋ることもなく黙って茶を啜っていた。
 そんな中、詩紋が話を切り出す。
「あの〜。友雅さん、頼久さん……」
「なんだい、詩紋」
「お願いがあるんですけど……」
 突然の願い事に二人は首を傾げる。
「願い事とはなにかな?」
 友雅は脇息に身体を預け、扇子を鳴らしながら詩紋に先を促す。
「僕が作った、お味噌汁を飲んで頂きたいのです」
「味噌汁を?」
「はい……」
 少し考え込む二人。
「つまり、試食と言うことかな?」
「はい。そうです」
 友雅は詩紋に笑顔を向けて。
「別にかまわないよ。ねえ、頼久」
 友雅が頼久にチラッと目を配る。
 目を合わした頼久も別段異存はなかったので。
「はい……」
 と短く答えた。
 二人の返答に喜んだ詩紋は、急いで立ち上がった。
「じゃ、直ぐ持ってきますね!」
 そう言って詩紋は炊事場に向かった。
 十五分すると詩紋は、味噌汁の入ったお椀を乗せた盆を持って戻ってきた。
「お待たせしました」
 味噌汁を見た友雅が詩紋に尋ねる。
「具は茸かな?」
「はい。そうですけど……茸、嫌いでしたか?」
「いや。では、頂こうか」
 友雅が言いと三人は味噌汁に口を付ける。
 詩紋が作った味噌汁は、なかなかの味で美味しかった。
 次に茸を食した瞬間に、友雅と頼久の身体に異変が襲う。
 ドクン!
 二人の心臓が強く鼓動を打つ。高く鳴った心臓は小刻に速く動いた。
 身体が段々熱くなっていく。
 そんな二人を詩紋は、おろおろしなが見ていることしかできなかった。
 その時、ちょうどあかねたちが帰って来て、鷹通も仕事を済ませ土御門に来た。
「詩紋君、ただいま──あっ……」
 部屋に入ったあかね達が見たものは苦しんでいる友雅と頼久の姿だった。
 驚いたあかねは急いでに駆け寄り、二人の背中を擦る。
「大丈夫ですか!? 友雅さん! 頼久さん!」
「俺、藤姫に頼んで医者、呼ぶように行ってくるぜ!」
 天真が部屋から出ようとした時、二人の身体から煙が吹き出した。
 ボン、ボン!
 たちまち煙が室内に充満し、視界を奪う。
 しばらくしたら煙は晴れ、全員は目の前にいたものに我が目を疑った。
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