緋色の欠片―繚乱の狂咲―

□序章 千年の始まり
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天地(てんち)初めて(ひら)けし時、高天原(たかまのはら)に成れるカミの名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)……』
 ──天之御中主神。この世に、一番最初に生まれたカミ。
『天地が初めて分かれた時、高天原に成り出たカミの名は、天之御中主神であった。
 主神にして一のカミ、全ての始まりのカミは然し、現れてすぐに姿をお隠しになった。自分のような力ある存在がこの世にあっては、次のカミが生まれないと考えたからだ。
 しかし天之御中主神は隠れる際に自らの半身を剣に宿し、それを地に落とした。万象に先駆けて存在したその剣は、どのカミよりも古く、またどのカミよりも力を持っていた。
 一のカミはこうお考えになった。これから生まれる弱き者、小さき者に戦う術があるように、また自分の力がすべからく世の隅々まで浸透するように。
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