賢者の石
□ハロウィーンと人形
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記憶を手に入れたあの日から、ユミはグリフィンドール寮で一人で過ごすことが多くなった。
ハーマイオニーが声をかければ、にっこりして返答していたものの、心の奥底には、ほんの少しの闇がユミの心を侵食しようとしていたのだ。
「なんか、最近....ユミをみないな」
ドラコの言葉を聞き逃さなかったスネイプは、授業後にユミを呼び出した。
「Ms.カンザキ、ちょっと来たまえ」
ーーーーー
『どうかしたの?』
その口調が昔のものと変わらないことがわかり、スネイプは胸が締め付けられた。
「ユミ......わたしは君に記憶を見せなければよかったと思うかね?」
スネイプの話し方は昔と少し変わったような気がした。
ユミはスネイプの手を自分の頬に当てた。
『セブルス.........私、記憶を取り戻せて嬉しいの。でも、戸惑ってる.....それだけだから、心配しないで』
昔の私と今の私は、一緒なのよね?
「ドラコが、心配そうな顔をしていた。」
ドラコが?
『私は、ドラコに伝えた方がいいのかな?』
「お前の好きなようにしろ」
ユミはどこか変わった。あぁ、穏やかな顔になったのだ.........
『私、これからどうすれば.......』
そんな悲しそうな顔をするな。
お前にはもう、仲間がいるであろう?
「お前が生まれ変わったのは、我が君に仕えるためではない、新しい人生を、歩むためなのだ。」
『あたらしい、人生?』
トムなしの人生だなんて、私は知らないーーーー
ふと、赤毛の少年に抱き締められるあの瞬間を思い出す。
『.........ぁ』
「何かみつかったか?」
スネイプは柔らかく微笑み、ユミの頭を撫でた。
≪グリフィンドールは家族みたいなものなんだから≫
『っ、ぅん、』
≪ユミ、愛してる......≫
どうしても消えてはくれない、愛しい人の声。
だけどね、貴方に会うまえにやりたいことが見付かったの.........
『じゃ、セブ.........スネイプ先生、ありがとうございました。また明日!』
私はセブルスに抱きついた。
セブルスは一瞬固まったが、ぎこちなく私を抱き締め返してくれた。
ーーーーー
『ハーマイオニー、隣いい?』
「ユミ、貴女!最近、大丈夫なの?」
ロンとハリーもこちらをまじまじと見つめてきた。
『や、皆して見つめてっ、、照れちゃう☆』
「「おおおおお、姫、もう一回言ってくれ、照れちゃうってところだ!」」
『フレジョッ』
「ユミ、元気になった?」
『ぱぱぱぱぱパーシーっ』
「ユミ、何かあったのか?」
心配そうな顔をして私に何かを渡すパーシー。
『えっ、うんう、ちょっと、色々疲れちゃってて。』
「その原因は僕達だったり?」と、ジョージ。
『ちがう!!』
思わず大声で否定すると、グリフィンドール生だけでなく、他の生徒たちもこちらをみた。
は、恥ずかしい‼
『ぁ、ごめんなさい.......』
紅くなり、小さく謝ると、皆がコソコソ話始めた。
「おい、あんな可愛い子がいたのか?」
「俺も知らなかった、スリザリンの生徒か?」
「いや、服はグリフィンドールだ」
「美女すぎる......すげータイプ」
それを聞いた双子たちは
「聞いたか、ジョージ」
「ああ、フレッド」
「ついにこのときが来たようだな。」
「ああ。」
「「本日から≪姫を守るぞ☆悪い虫排除隊≫をつくる!といっても!僕らだけだがな!」」
「何言ってるのよ、私も入るわよ」
ハーマイオニーはフレッドの肩を叩いた。
「兄貴たち、何騒いでるんだ?」
ロンの間抜けな声にハリーは「うーん」と言っただけだった。
ところで.........
とうの本人はというと、
『どうしよ.........みんな私の悪口言ってるよぅ』
「ちがうよ、君が、その、あまりにも綺麗だから......」
『パーシーは優しいのね』
メソメソしてパーシーに泣きついたのだった。