賢者の石

□クリスマス
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魔法薬の授業。

地下牢教室は凍えるほどの寒さだった。





ハリーはユミを探したが、彼女はグリフィンドールの方にはいなかった。



ドラコの声を耳にして、あちら側にいると気づいた。



「なぁ、今年のクリスマスプレゼントは何がいい?」




『何もいらない。あ、でも......手紙を頂戴。』




ユミが上目遣いで言うと、男女問わず、スリザリン生が胸打たれたようだった。



「.....っ、」
ドラコなんて真っ赤だ。





授業のあと、ドラコはハリーいじりに行く。
ユミを見つめるハリーの目が気に入らなかったのだ。




「かわいそうに。家に帰ってくるなと言われてクリスマスなのにホグワーツに居残るんだね」

ハリーは無視した。




『ドラコ.......わ、私も可哀想だと思って手紙をいっぱい頂戴.......?』




ユミが近くにいるとは知らずにドラコは顔を青くした。






遠慮がちに言う彼女の言葉で、ドラコのハリーへの嫌味は、哀れみの言葉へ変わった。
ユミはドラコがハリーに嫌味を言っているだなんて思っていなかったのだ。






「ユミ......君は、ぼ、僕の家族も同然だ!だから、手紙は勿論書くけど......クリスマスパーティーに来いよ!」


ドラコは焦っていた。
さっきの言葉はユミまで侮辱したことになってしまう。




『え.....?嬉しい、ドラコ.......』







ハリーは二人の関係が本当に気になり始めた。


「ほら......昔みたいにドレスを母上につくってもらおう。」




ハリーは優しいドラコをみて
なんだか負けたように思えた。




『そんな、悪いわ......』
「いいんだ、ユミのことはもう父上、母上に言ってある。泣いて喜んだそうだ。だから.....」



『ありがとう.........じゃあ、お言葉に甘えて.......』




ユミは、ドラコに助けられた日から、ほとんどドラコと共に行動していた。




ハーマイオニーは、少し寂しそうだ。
「ユミ.....グリフィンドールが嫌いなのかしら。」




「そんなことないよ.......マルフォイと仲がいい、それだけだ。」





ハリーは自分の言葉に傷ついた。
マルフォイよりも、僕と仲が良ければいいのに、と。







ーーーー

スネイプはユミをどう呼び出そうか自室で考えていた。




「なぜ、わたしがこんなに真剣になっているのだ」


ため息をつく。





『ため息なんてついたら幸せが逃げちゃうよ?』

「.......そうだな」




今、何と?


「なぜ、お前がここにいるのだ。」
わたしの部屋だぞ。ここは。


『.........この前のことを謝ろうと思って。』





気を遣われてしまったか。


「いや.........わたしこそ、悪かった。」
彼女の弱さから逃げるように背を向けた。



『セブ.......チューして。』




「は??」

『ほっぺほっぺ』

何を言い出すのだ。






『いいじゃん、小さい頃は仲直りするとき、ほっぺにチューしてくれたじゃーん』



なぜこんなに幼い。
とはいえ、可愛いやつだ。



無理矢理ほっぺを唇に押し付けられたものの、逃げることはしなかった。




「悪かった.......」

二度目は自ら。

『セブルス、昔より色気があるのね.......』



「そんなものはない。断じて。」




『ふふ、.......セブルス......わたしの言葉、あんなの嘘だから。許して.......セブルスもドラコも、ハーマイオニーも、みんなみんな、失いたくないよ.........』




わかっている。






さいしょから。



小さい彼女を力強く抱き締めた。






「なぜ大人になりたかったのだ。」




『えっ』




「わたしがお前が使った薬を知らないとでも思ったか」





『い、いや、そうじゃないんだけど.........』



「なぜだ、言ってみろ。」



『ぅ.........』
下を向いてしまった。



こちらにも手はあるのだ。




「これは......お前にとって真実薬のようなものだ」


ユミは目を輝かせた。


マグルの綿菓子。





「言え。」

ユミはスネイプの横に浮いている綿菓子を見つめながら、ペラペラと喋った。












「なるほど」


『あぁ、しまった......そして
美味しい.........』






モゴモゴと空中に浮く綿菓子を食べながら幸せそうな顔で後悔するユミ。







「ユミ、わたし以外に拷問されたら綿菓子が出ても食べるな」

『うん』





聞いているのか、






まあ、今回は聞けてよかった。
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