賢者の石

□賢者の石
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新学期も何日か前に始まって、
ある日ユミは図書館で本を読んでいた。






「やあ。この前はプレゼントのお返しありがとう。」

真上から声がしたので、しぶしぶ見上げた。

『えーっと.....いいえ、こちらこそありがとう、セドリック。』
一瞬名前が出てこなかった、危ない危ない。





「いつもここにいるね?」

セドリックは爽やかな笑顔を向けてくる。



『何で知ってるの?』

「僕もよくここにくるんだ、この場所いいよね。」


『ええ。そうね。』

そう言って微笑むと彼はキョトンとした。


「君ってーーー.....近くで見るとすごく可愛い顔してるんだね。遠くから見ると大人っぽいのに。」



何を言い出すんだ、この人は。





『あ、ありがとう』


「ところで、ユミはスネイプ先生と仲がいいけど、何かあるの?」



『なにかあるって何です?』


「うんう、ただ気になってさ」



何それ。
この人、なんとなく苦手だなぁ。

『なんにもないよ?昔から知り合いだからさ』


「そうなんだ.....」
にっこり。






笑顔は爽やかなのに、何を考えてるのかさっぱりわからない。






『じ、じゃあね。また。』

本はまだ読み終わっていないけど、もう寮へ戻ろうかな。



「なんか.........僕のこと、苦手?」


『そんなことないよ、』
そんな風に悲しそうに笑われると、こっちが悪いことしてるみたい。



『また、お話ししましょ?』


ニコッと笑ってそう言えば、彼も嬉しそうに笑った。


ハンサムなんだから私なんかに話しかけてこなくても.........



「ねぇ、今の見た?」
「うん......私たちのセドリックなのにさ。」
「グリフィンドール生の服着てるスリザリン生って子でしょ」
「男好きの1年生」
「あはは、言えてるー」




ほら.........
貴方を待っている女たち。


てゆーか。
今の子達、私のこと言ってたよね?






なんか、嫌だなぁ。

昔のいじめもこんな風に始まった。




あの頃は友達もいなかった。






先生にも気づいてもらえなかった。
今はなんとも思わなくなったけど、
何でもお見通しのはずのダンブルドアが助けてくれないことを恨んだっけ。





『≪人殺し≫』

言われた言葉を自ら口にした。



馬鹿馬鹿しい。




セブルスに心配かけるから、閲覧禁止の棚に行けない。



仕方ない、部屋に持ち帰った本でも読むか。







ーーー







ハーマイオニーはハリーとロンと図書館に通ってるみたいだし。




借りてきた本をパラパラとめくる。






≪不老不死≫


について。







そんなもの、あるなら手にいれたい。



それで、私はトムを復活させる。





『何々......賢者の石は、飲めば不老不死になる命の水......』



所有者は、ニコラス・フラメル。


昨年、665歳の誕生日?
そんなの、あり得る?



もし
あるのなら。


トムのために手に入れなきゃ。




ああ、嬉しい。
でも、どうやって手に入れる?




クィレル先生にきいてみようかな?なんか知ってそう。



ふと、ハーマイオニーのベッドに目がいく。




あの本........



ハーマイオニーが面白そうって借りてた。

ニコラス・フラメルについて何か書かれていないかしらー?





本を勝手に触り、みてみると同じことが書かれていた。
やっぱりそうか。







走ってくる音が聞こえて、急いで本を閉じ、入り口の方へ行く。


「あら、ユミ!」

『ハーマイオニー、ずいぶん嬉しそうね』

「そうなの、探してたものがみつかったのよ!」


といって、先ほど私がみていた本を持ち出した。


ああ、危なかった。






私って、人のもの勝手に見て最低だな。




スリザリンが最低だとは言わないけど、私はスリザリン生なんだ。






ハーマイオニーは、私に何を探してるとか、一緒に探そうとかを言わない。



まだ信じてもらえてないかな。


でもね、ハーマイオニー。


信じちゃいけないよ、こんな女を。






ハリーを殺すかもしれない男を愛してるだなんて口が裂けても言えない。





自分で借りたほうの本をローブで隠してクィレル先生の部屋へ向かう。














「なぁ、ジョージ。今のってユミ...」
「だよな?」
「どうして、あんなに暗い顔してるんだ?」
「最近はハーマイオニーたちとも一緒にいないよな。」
「喧嘩でもしたのか?」
「そうかもな......」
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