賢者の石

□みぞの鏡
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クィレル先生の手が、再び私の髪を撫でる。



「あの方が君をお呼びだ。賢者の石を手に入れさえすれば.........」



あの方?


賢者の石?





「!!っ誰かがくる、行け」


クィレル先生、私に何か用事があったんじゃないの?
さっきも魔法かけようとしたし.........
私を失神させてまた何かしようとした?




クィレル先生が指差した方向へ迷わず走った。





部屋から出て廊下へ、クィレル先生と壁を一枚挟んだ状態だ。


足を動かそうとした瞬間、猫なで声が聞こえた。




「クィレル。貴様がなぜここにいる。」

「あ、あぁ、セ、セブルス」
いつものおどおどしたクィレル先生の声が聞こえた。


「ユミ・カンザキを見かけませんでしたかな?彼女の香りがするのだが」



セ、セブルス。香りって、そんな、そんな、、、いやん///(⬅え)




「いえ、わ、わたしは、こ、ここをたまたま、と、通りかかっただけでっ」



クィレル先生の声が近くなってきた。



おそらくセブルスに壁ドンでもされているのだろう.......



『っ、ぅ、......』

左目に鋭い痛みが走る。






早く寮に戻らなければ。




左目がズキズキして足取りが重い。というより、上手く歩けない。



ーーーー

やっとの思いでたどり着いた自分の部屋は、落ち着ける暖かさだった。



ハーマイオニーはまだ図書館かなぁ。




暇すぎてベッドで横になった。




なんで左目だけ赤くなるのかな。



考えてもわからないものはわからない。
クィレル先生は何か知ってるみたいだったけど。
今度冬休みにでも聞いてみよーっと。



静かだなぁ。





どこかからマシュマロを焼いたような甘い匂いがする。

誰か焼いてるのかな。





私って、今何歳だっけ?





トムは何歳かな.........





今どこで何をしてるのかな?








ユミは、眠りの世界へと入っていった。



ーーーーー



≪あと、少しだ、あと少しでお前に会える≫



トム?

ほんと?


よかったぁ。


もう安心だねーーー


≪誰にも渡さない、≫



うん、ずっと側にいてね。
ーーーーー
「ユミ」

ん?なぁに、トム。


「ユミってばぁ」


そんなに揺すぶらないで、トム。

あ、あれ?トムってそんな髪長かったっけ?黒髪じゃないの?

『は、ハーマイオニー.........おはよ〜』

「もう。可愛い子ね。夕食をとりに大広間に行きましょ?」




ハーマイオニーに手をとられて、眠い頭で起き上がった。





ハーマイオニーに手を引かれて階段をおりる。
『ねぇねぇ、ハーマイオニー。ハーマイオニーは会いたい人とかいるー?』


「会いたい人?そうね、両親かしら。私が魔法使いだって知ったとき、すごく喜んでくれたこと、今でも忘れられないわ。」

『そうなんだ、ハーマイオニーの両親ってどんな人なの?』

「は、歯医者をやってて、二人とも仲が良くて優しいわ。」

ハーマイオニーは照れながら言った。

両親、か。
私の両親は何してるんだろう。
トムに会ったことないよね?

『すごいわね!歯医者だなんて。』

「あなた、マグルじゃないのに歯医者って知ってるのね!」

『うん、昔(トムに隠れて)マグルについて書かれてる本をよく読んだの。』

ハーマイオニーはそれを聞いて嬉しそうにした。

「私、てっきり、貴女はマグルに興味ないかと........」

そうよね、スリザリン寄りだもの。

『ちがうわ。』

「ユミって、ほんとに勉強家ね。ところで、貴女の一番会いたい人は誰?」


もちろん、
『私も、育ててくれた人かなぁ。』


「どんな人なの?」

どんな人、どんな人かな。


『怒ると怖いけど(人を殺すし)照れたときとか笑ったときとかはすごく素敵なの。それに、私には優しいわ。』


ハンサムだし、年齢を感じさせないし。




胸の奥が痛いよ、トム.......


「そうなのね、それって素敵だわ。今は?その人は何をされてるの?」

『うーん、今は音信不通で.......どこにいるのかわからないの。』



ハーマイオニーはユミが切なそうな顔をしていることに気付き、彼女の手を両手で包んだ。

「その人も今、ユミのことを考えてるわ。」


『そうだといいな。.........ありがとう、ハーマイオニー。』
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