子は親に似る
□Cランク任務
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目の前をある物体が通り過ぎた。咄嗟に手を伸ばすが、捕まらない。そいつは私を馬鹿にしているのか、右……左…また右へと茂みに隠れて移動する。
「おい!突っ立ってないで早く追え!」
木の上から降りて来たサスケをフゥリュウは、顔を顰めて言った。
「へいへい……分かってるって」
とその場から離れ木の枝の上に着地する。
「先回りするから期待しときなさい」
フゥリュウはサスケを振り返り、にっと歯を見せた。そして、枝から枝へと飛び移りながら、物体を追った。
「目標との距離は?」
「5m!いつでもいけるってばよ!」
「オレもいいぜ」
「私も」
「あとちょ……っと!OK!」
4人の準備が整ったのを確認したカカシは、巨木に手をつき合図を送る。
「うりゃああ」
ナルトの掛け声と共に私達は目標である物体に向かって行った。
「右耳にリボン……目標の"トラ"に間違いないか?」
「ターゲットに間違いない」
トラはナルトに捕まえられ、抵抗しているが、引っ掻かれても離すものかと必死なナルト。その様子をちらりと見たサスケはカカシに報告する。
そう。物体こそが今回の任務の迷子ペットのネコ"トラ"の捕獲。
「そんな持ち方だから引っ掻かれるんだよ。貸して」
ひょいとナルトからトラを奪い取ったフゥリュウに、ナルトは心配する。
「危ねェってばよ!!フゥリュウも引っ掻かれるぞ!」
「大丈夫ってほらっ!」
トラはナルトの時とは違い、急に大人しくなり、ゴロゴロと喉を鳴らしながらフゥリュウに擦り寄っているではないか。
「フゥリュウって、猫好きなの?」
トラの頭をそっと撫でながらサクラは質問をする。
「猫好きって言うより………動物が全部好きかな」
「だから、この子もフゥリュウには直ぐに懐いたのよ。ナルトと違って」
「そうかもね」
フゥリュウの言葉にナルトは、不満げな顔で相手を見返した。
「いい、ナルトは多分嫌われたじゃなくて、持ち方の問題だよ」
「持ち方?」
「うん。トラの脇の下を持ってたでしょ……あれって、猫はあまり嬉しくないんだよ。だからこうやって……」
そっと左手でトラの腹の下、右手でお尻のところを持つ。
「この持ち方したら、引っ掻いたりしないよ。ほら、やってみて」
トラをナルトに渡す。
言われた通りにナルトは、トラの腹の下、お尻のところを持った。
「本当だってばよ……」
「私にも持たせて」
トラが引っ掻けてこない事に感心したナルトに、サクラは、トラを抱っこしたいと言う。
「お前ら…満足したらさっさとそいつを、このカゴの中に入れろ。里に戻るぞ」
サスケの手にはトラを入れるペットキャリーがあった。