子は親に似る

□波の国IV
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ザザァー……ザザァー……

トントントントン

心地良い波の音と、大工が釘を打つ音が絶妙なハーモニーを奏でる。


「嬢ちゃん!その木材は、一番右端に置いてくれ」


「ここですね!はーい」


フゥリュウは、分身を使いながら三mもある木材をゆっくりと地面に降ろす。


「次は……そこに置いてある小さい木材をあそこに頼む」


目的の場所を顎で示す大工。


「了解っす!」


フゥリュウは分身を引き連れ、ピラミッドの形で置かれている小さい木材を、頂点から一つ一つ取っては、分身達にバケツリレー方式で手渡していく。


「……そーいや、嬢ちゃん。何で、此処を手伝っているんだ?」


大工が言う此処とは、タズナが建築予定の橋の作業場のことを指しているのだろう。

そもそもフゥリュウは、タズナの護衛だけのはずだった。だが、ナルト達が修行を行うのと同時に、カカシに"四人の中で一番体力がない"と言われ、体力づくりも兼ねての、タズナの護衛という名の修業を出されたのである。

そして、使用して良い忍術は"分身の術"のみ。ナルト達の修業よりは、少しラクかもしれないが、体力がないフゥリュウにとっては結構疲れる。

フーと息を吐き、肩に掛けてあるタオルで汗を拭う。


「修業ですよ!修業っ!先生に体力がないと言われたので、此処で鍛えてるってわけですよ」


「そーか。そーか。修業ねぇ〜……じゃあ、修業中の嬢ちゃんにもう一つ頼もうとするか」

「?」

















「修業は修業でも……これはキツイですって……」

平べったく四角形の木材を二十枚程重ねて、タズナの所へと運んでいくフゥリュウ。

それもそうだ。この木材は、一枚四kgもある。成人男性一人運んでいるのと同じ重さだ。

両腕に力を集中させ、ゆっくりゆっくりとタズナのいる場所へと運ぶ。


「タズナさーん!!この木材、持って来ましたよーー……って、あれ?」


「フゥリュウ!?何でここにいるの…………ってか、その格好」


「おぉ!嬢ちゃん。超サンキューじゃのぅ」

ナルト達と修業しに行ったはずのサクラが、タズナと一緒にいた。

重い木材をその場におろし、二人に近づく。


「サクラ、修業はどうしたの?」


「もう終わったわよ」


「エ"ェ"!?はやっ!まだ、一時間しか経ってないのに〜〜……」


「私は優秀だからーーカカシ先生がおじさんの護衛をしろって!だから、ここにいるの。ところで、アンタ修業は?」


「これが修業」


「はっ?」


サクラが驚いた顔をした。

「これが修業ーー父さんに何も聞かされてないの?」


「えぇ……」


「ワシも最初は超驚いたのぅ、じゃが……手伝ってくれるのはとても助かるわい」


ハハハと笑いながらタズナは、フゥリュウの背中をバシバシと叩く。


「……だから、その格好なのね」


フゥリュウの姿を上から下へと、何度も目を動かし理解する。

頭には、タズナに貸してもらったヘルメットを被り、肩にはタオル。いつも着ているフード付半袖肩出し服は脱いでおり、アンダーアーマーノースリーブの格好で、両腕にはアームウォーマー。下はそのまんまの服装だった。


「あっちの修業が終わったのなら、こっちの修業する?」


「私は、おじさんの護衛するから良いわ」


サクラは首を左右に振り、断りを入れる。


「嬢ちゃん。さっき運んでくれた木材を、一つ持ってきてくれ」


「はいはーい」


フゥリュウは、上から一枚木材を手に取り、タズナに渡す。


「次は、こっちに一枚」


「ほいっ!」


「こっちにも」


「了解ですっ!」


タズナの指示で木材を一枚、一枚渡していく。


「よっと……」


「ちょっと、いいか………タズナ」


タズナに声をかけてきた老人。


「ん………どうしたギイチ?」


タズナは肩に掛けてあるタオルで汗を拭い、ギイチを見る。フゥリュウも木材から手を止める。

ギイチと呼ばれた老人は、表情が強張る。


「色々考えてみたんだが……橋作り……オレ、降ろさせてもらっていいか……」





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