子は親に似る
□波の国 [
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「オレが来たからには、もう大丈夫だってばよ!物語の主人公ってのは、大体、こーゆーパターンで出て来て、あっちゅーまにィー敵をやっつけるのだァー!」
ビシッと格好良く登場したナルトだったが、場面が場面で最悪だ。
「ホントッ………意外性No.1だよ……ナルトは…」
フゥリュウは、何か吹っ切れたかのように自身の髪をくしゃりと掴みながら苦笑する。
「(ったく、あのバカ!あんな目立つ登場しやがって……あれじゃ、いい的だ!)」
呆れ顔でナルトを見つめるカカシ。
「ナルトォ!」
ナルトの登場で歓喜を上げるサクラ。
「(話が長い……)」
ナルトの登場で助かったものの、後が台無しだとサスケは呆れる。
「(フン………あのガキか…)」
再不斬はニヤリと不敵な笑みを浮かべナルト目掛けて手裏剣を放つ。
白も再不斬に続いて千本を投げた。
「しまった!」
カカシは咄嗟の行動に動けずにいた。
「(来たっ‼)」
ナルトはサッとクナイで身構えたが、手裏剣と千本がぶつかり合い、地面に落ちナルトに届く事はなかった。
この出来事にナルトを含めた六人は、何が起こったのか理解出来なかった。
「白……どういうつもりだ」
再不斬は味方である白に向かって睨みつけるが、仮面のせいで白の表情は読みづらい。
「……再不斬さん、この子は、ボクに………この戦いは、ボクの流儀でやらせて下さい」
白の思いを聞いた再不斬は、怒りを抑え込むように言う。
「……手を出すなってことか………白。相変わらず甘いヤローだ……お前は…」
「(甘いか……確かにな………この傷から見て、千本で攻撃させてるのは確かだが……今のところ急所という急所は狙われていない……生殺しのつもりか……)」
再不斬が思っていることと同じようにサスケも白に対してそう思っていた。
傷はあちこちに受けているものの、傷はどちらかといえば浅い方だ。
「(……しかし、この術は何だ⁉分身を鏡に潜ませ、全員で同時に千本を投げつけて……いや…それにしちゃ速過ぎる………武器の軌道すら見切れないのは、どういうことだ……それに、単なる分身の術だとすれば、この氷の鏡を必要とする理由が見当たらない…………とにかく、この鏡が奴の攻撃の要である事は疑いようがない)」
サスケは冷静に頭の中で白の術について考える。しかし、いくら考えても答えが見つからなかった。
「(ここは、とりあえず……オレは内側………そして、ナルトに鏡の外側から攻撃させてみるしか…)」
「よっ!助けに来たぞ!」
いつの間にかにナルトはサスケの目の前にいた。
サスケの策はナルトによってあっけなく崩れた。
「こっ……このウスラトンカチ!忍なら、もっと慎重に動けェ!お前まで鏡の中に……くそ!もういい、バカ‼」
「なンだァお前ェ‼せっかく助けに来てやったのにィ‼」
この二人は、どんな状況でも喧嘩するなぁと遠くから見ていたフゥリュウは呆れた。
「(さすが、意外性No.1の忍者だ……助太刀に来て、どんどん状況が悪化してやがるな……)」
カカシもフゥリュウと同じように呆れ返っていた。
「(……ナルトとサスケの方へ行けば、フゥリュウとタズナさんが危ない………が、といってあいつらを放っとくわけにも…)」
目の前にいる再不斬に対し、中途半端に影分身をすれば、あっちは水分身で足止めしてくるだろう。そうなれば、無駄にチャクラを使う事になるな…。
ボゴゴゴ!
サスケは素早く印を結び、炎の塊を口から吐き出し、氷の鏡を溶かそうとするが、氷の鏡は溶けず、白の術をそう簡単に破るの事は出来なかった。
「ぐあ‼」
「うぐっ‼」
ナルトとサスケの苦痛の声がお互いの耳に入ってくる。
「"影分身の術‼!"」
ボボボン!
再不斬と戦った時のようにナルトは影分身を使って、鏡の中にいる白に攻撃を繰り出す。
だが、鏡に到達する前に白によって、分身達は次々と倒されていった。
その光景を見ていたカカシはある事に気づく。
「まさか、あの少年があんな術を体得していようとは……」
「クククク………」
再不斬は勝ち誇った笑みを浮かべている。
「!あんな術……」
サクラはカカシに聞き返す。
フゥリュウとタズナは黙ってカカシの言葉を待った。
「血継限界だ!」