If you disappear
□始まりと出会い
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シュテルンビルトにある大きな病院。
俺はここで働いている。
古くからある病院で、大きな怪我や病気の人が毎日大勢運ばれてくる。
休む暇もない仕事だが、俺はここが好きだった。
「鏑木先生!」
「ん?」
振り返るとそこには車椅子に乗っている男の子がいた。
見覚えがある…、
前に事故で運ばれてきた子だ。
「あのね、僕の足…もしかしたら治らないかもしれないんだって」
「……」
「僕…もうみんなと一緒に遊べないのかなぁ…」
少しうつむきながら喋る声が震えたのがわかった。
「そんなことはないぞ!」
「え、でも…」
「治らない かも だろ?それならまだ希望はある!諦めたら駄目だ!」
「けど…」
「それに、みんなと遊びたい、治したいって思えばきっと治る!」
「……うん!」
顔を上げ笑顔になる。
「ありがとう先生!」
元気を取り戻すと病室に戻っていった。
手を振って見送る。
そのせいで、俺は後ろで話している声に気づかなかった。
「さすが鏑木先生ねぇ」
「私もあの人に相談したら、すごく心が楽になったわ!」
「どんな話でも親身になって聞いてくれるもんね〜♡」
「狙ってる人も多いって聞くわよ。…まさかあなたも…」
「な、なに言ってるのよもー!」
俺が病院一人気な医者ということは、俺以外みんな知っていた。
「へっくしゅ!」
ん?なんだ?誰か噂してんのか?
いや、んなわけねぇか。
最近冷えてきたせいだな。
さすがに11月にもなるとだいぶ冷えるな…。
ふと開いている窓から外を見ると、綺麗な青空が広がっていた。
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