あまのじゃく
□心の大きくて深い傷
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〜松代side〜
彩花の心の傷の話を聞いたのは、出会ってすぐの頃の話。
彩花はね、橋の下で泣いてたの。
まだ四歳くらいなのに、一人でね。
それで、「どうしたの?」って聞いたらね…
『ボク、お母様達が殺されて、行くとこないの』
って答えたの。
だから、私は「行くとこ無いなら来なさい」って言ったのよ。
彩花は、ずっと泣きながらこんなことを言ってたわ。
『ボクが居るせいで貴女までもが傷付いてしまいます!!ボクなんかを助けたら貴女が傷付きます!!殺されないで』ってずっと泣きながら言ってたの。
彩花は私を見て泣いてたの。
そして、私が一回中に入りなさいと言うと、『ボク時が来るまで居ても良いの?』と聞いてきたの。
時が来るまでの意味は今でも分からないけど、彼女にとって嘘のない言葉だったから私は信用したの。
そして、あの子を家の中に入れて、話を聞いたの。
彩花の周りに近付いた人はハートレスという化物に殺されたとか、黒ずくめの男が彩花の両親を殺した…とか。
あと、一番酷かったのは、ハートレスという化物がやった事を彩花のせいにされたということね。
あと、あの子は自然を操る能力があるせいで、化物扱いされ、人体実験にも使われそうになったみたいなの
彩花が笑わなくなったのはそのせいみたい。
そして、彩花はこんなことも言ってたわ。
『母さん…ボクは、黒ずくめの人に狙われてるから、黒ずくめの人に見付かったら旅に出ます。それまで宜しくお願いします』ってね。
そのあとは、私が彩花をお風呂に入れて、彩花を寝かせたの。
でも、彩花はずっと魘されてたの
『死ねなんて言わないで…
ボクも同じ人間。
殺さないで…』
ってね。
だから彩花は貴女達の前でも少し冷たく当たってたのよ。
貴方達が傷付かないように、
殺されないように……ね。