<リクエスト置き場>

□LiEさんへ
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私たちは完全に凍りついていた。それはもう唐突で、激しくて、露骨で、いかにも昼ドラって感じで‥‥。
カーテンから漏れる午後一時の木漏れ日と爽やかな冷風。ずばり、素晴らしい午後時には不適なドラマが今現在、ここで放映されているのだ。

ブラウン管越しの景色を後に、一松は少し私を見下ろす。漫画を片手に色気もない私を。


「みいはさ」
「はい」
「こういうの好き?」
「え」
「この主人公みたいにさ、男に無理矢理おさえつけられて無理矢理キスされて無理矢理やられるの」
「‥‥好きって、いや、別に好きじゃないよ」
「ふ〜ん」

何故か見下すように微笑む一松。むっとなった私は軽く一松の肩を叩く。

「そういうあんただって、こういうやり方の方が興奮するんでしょ?」
「まあね」
「っ!?」

まさかの返答に私は顔を真っ赤にしながら彼から離れる。いや、だってそんな堂々と言うなんて思ってないから‥‥。
明らかに動揺した私を見て、一松は煽るように嘲笑う。

「もしかして今、期待した?」
「しっ、してない!してないよ!」
「嘘。顔赤い」
「一松が変なこと言うんだもん!」
「何?変なことって」
「だからその、えっと、だから‥‥」

離れようとしたその背に、一松の腕が遮断をかける。ぐいっと引っ張られた先は、一松の腕の中。どくどくと駆け巡る鼓動と、テレビの向こうから聞こえるベッドの軋む音。

まるで猫のようにしなやかに、そっと私と一緒に床へ落ちる。するりと落ちた指先が、局部のところで停止する。

「‥‥濡てるじゃん」
「‥‥」
「期待してるんでしょ?」
「‥‥し、してない‥ひっ」

しゃっくりのような声が出た。一松の優しい手先が、下着の上から何度も左右する。軽やかに下着を捲り、私の中に指が入る。
あ‥‥やばい。熱い。熱い。

「‥‥っ」
「声、出して」
「‥‥」
「みい」


名前を呼ばれた瞬間、私はいつもよりも甲高くなった声で喘いでしまう。違う。出したいわけじゃない。
だけど、一松の指がどんどん私の中に入るほど、声は何度ももれていく。のぼりつめるように上昇した快感が、いとも簡単に花を咲かせた。


「‥‥指でいっちゃった」
「‥‥い、一松」
「へえー、やっぱり一方的に攻められる方が気持ちよさそうじゃん」
「‥っ」
「でも指じゃ、俺は気持ちよくなれないでしょ」


塞ぐようにして重なる唇。何度も舌が絡み合い一つになるような感覚を重ねる。少し切なそうに垣間見える一松の瞳に、きゅっと胸が締め付けられた。




一松のそれが中に入った時、再び快感へとのぼりつめようとする本能が揺らぐ。何度も激しく腰が揺らされる度に、ぼんやりとした幸福感までもが滲む。



__好き


耳元で、途切れる息の狭間で、一松は囁いた。私は声をあげて、快感の最上地へと足を踏み入れた。






結局すぐに二人して果ててしまい、その頃には昼ドラもただのお笑い番組に変わっていた。ぼおっとしていたら、一松の眠そうな顔が胸におしつけられる。

「みい」
「‥‥なに?」
「‥俺以外の人と、昼ドラとか見ないでね」
「何で?」
「きっかけになるから」
「何の?」


意地悪な心で尋ね返すと、一松はむすっとしたまま私の首に手を回す。ばれないように、私はクスクスと笑いを押し殺した。








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