小説参

□Mana
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 [×××× ×××× 《××××》 ×××]
 
 
 
 
 黒雲の垂れこめた空。




 廃墟と化した街並み。




 夜空に浮かぶ歪な月は、現実味のない赤い色をしていた。




 雨が降り注いでいる。




 どす黒く染まった、黒い雨が。




 ―――ああ、俺はこの景色を知っている。






 [平成40年 5月4日 《現存世界》 シュウ]
 
 
 目が覚めたら、病院のベッドの上だった、なんてのはよくある話だ


 目が覚めたら、知らない部屋にいた。これもまあ珍しいものの、少なくはないだろう。
 実際俺も今その体験をしたばかりだ。
 見慣れない天井と内装に不安が少し芽生えたもの、時間が経つと特に気にならなくなってきた。
 とりあえず助けを待てばいい。
 



 しかし今の俺の状況はというと――――――目が覚めたら体をベッドに縛り付けられていました。


 おまけに口には猿轡。体は首から上とくるぶしより下を残してロープで簀巻き状態。文字通り身動きの一つも取れない。できるものといえば瞬きと足の指を広げるくらいのもの。正直どうでもいいものだ。瞬きは必要だが。
 というか一体どんな馬鹿力
男の部屋だろうか。
壁際に置かれた安っぽいプラスチックの棚には、グラビア雑誌が挟まっている。
クローゼットに掛けられた服の好みから、この部屋の住人は俺と同じくらいの年頃であろうことが見てとれた。


さらに言えば掃除が余り得意ではないらしく、部屋のあちこちに埃が舞うのが見える。
デスクに置かれている伏せられたままの写真立てが少し気になった。



とりあえずこの状況をどうにかしねぇと…









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