07-GHOST
□始まったか
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月日が流れるのは早く、あれからテイトは14歳になり士官学校へ入り、今日がその卒業試験の日だ。
俺は今年の試験官になった。人手不足だったようで、デスクで書類の処理が終わって寝ていたら、上司に叩き起こされ、無理矢理試験官にされた。
あっの、クソ上司め・・・
「ハーイ。今日はいよいよ君達が待ちに待った卒業試験だー。事前に言ってあるグループに別れろ。呼ばれたグループはそれぞれの会場に入れ」
試験の説明をしていると、受験者の1人が俺を見て吃驚していた。
「は!?コウ」
「はい、私語は謹んでー
それではAグループのお前の卒業試験はこの囚人を倒すことだ。
倒せなかったり、仲間を見捨てたりしたら失格だから気を付けるように」
手錠に繋がれた、大男を檻から出した。ビビった1人の受験者が訓練用の幻術だと輪ゴムを囚人に飛ばすと、普通に当たった。なんで卒業試験で、幻術のと戦わせるんだよ。
「ほう、今年のガキは威勢が良いな。楽しませてくれよお」
「ひっ・・・ほ、本物だ」
そりゃな。
「本気でやらないと本当に殺されるそー。まぁ、頑張ってくれ。
それでは、試験開始!!」
始まった囚人による、一方的な攻撃。卒業試験で用意される囚人は、懲役100年を越える者凶悪犯ばかりだ。受験者にとっては、イージーモードから、いきなりハードになったようなものだろう。
それに、囚人も受験者を倒すことに服役期間が短くなる為本気だ。
「敬礼!!」
突如そんな声が聞こえた。ようやく来たか。ブラックホークの面々が。
「今年の生徒達はどうだ?少しは骨がありそうか?」
「2名を除いてゴミですね」
入口の1枚めの扉だけ開けると、ちょうどシュリ=オークが泣きながらこちらに助けを求めていた。うわ、汚。
「見苦しい」
アヤナミ参謀長官は一言吐き捨てた。それには同意する。
囚人との戦闘は、いよいよ終わりに近付いていた。テイトは親友のミカゲと共に、囚人を追い詰め首に攻撃系のザイフォンを構えた。
「降参しろ。動けば殺す」
「・・・っ」
おおー成長したねテイト。俺はそんなお前が見られて涙が出そうだ。
「試験はまだ終わっていませんよ。私は殺しなさいと言ったはずです」
「コイツは本当の敵じゃない。殺す必要なんか」
テイトとテイトの元先生のワカバの話しに水を差すようで悪いんだけど・・・
チャキ
「アヤナミ参謀長官様?手出しをされては困ります。ザイフォンをしまってください」
「・・・」
「ひゅー。アヤたんに逆らうなんてやるねー君」
アヤナミ参謀長官は睨んできた。ザイフォンで囚人を殺そうとした為、首に刀を当て止めた。
俺が刀を当て瞬間、ヒュウガと従者のユキカゼが俺の急所に剣を向けていた。
「ワカバ先生。私は殺せ、ではなく倒せ、と言った。あなたはたかが教師だ。此処では試験官の私に従ってもらいますよ?
テイト=クラインその囚人の意識を奪いなさい」
テイトは頷くとザイフォンと解き、囚人の裏に飛び上がり後ろ首に踵落としを決めた。見事囚人は倒れた。
「試験終了。お疲れ様」
俺は刀を外し、次のグループの試験へ向かった。残された俺以外、全員固まっていたが。