PSYCHO-PASS
□Work.3
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『とうちゃーく。なかなかデカいねぇ』
着いた現場の工場の大きさに、男として少年心をくすぐられる感覚があった。
工場見学!(*・ω・*)wkwk
と、いうことだ。
「はしゃいでるな護。そんなに工場見るのが楽しみなのか?」
『もちろん。なんかこう、興奮しません??ドローン工場なんて男のロマンが詰まっているじゃないですか』
「ふーん・・・ロマンねぇ」
コウは興奮する所か、獲物を狙うような目で工場を見ていた。完全に仕事モードです、この方。
「無駄口たたいてないで行くぞ!」
『了解!』
案内役は工場長自ら案内して下さった。組み立てや、試運転まで見ていよいよ現場を残すのみとなった。
既に遺体はドローンが処理してしまったようで記憶ホロしかなかった。けれどそれだけで今回の事件の全貌が見えた。
『・・・ふーん』
そういう事ね。
俺達は粗方工場を見終わって社員食堂で昼食もとい、各自の結果報告をしていた。
「それにしても、こんな環境状況なのに皆さん色相がクリアカラーだなんて凄いですね」
「いんや。いつの時代もストレスの捌け口なんていくらでも・・・」
「どうです?何か見つかりましたか?」
「いえ。頂いたデータからは特に」
ガシャン!
『・・・こんなオフラインの監獄みたいな場所でのストレスの捌け口なんて、それしかないよなぁ』
いつの時代もこんなことばっかだ。
一人の社員が何人もの社員に昼食をひっくり返され黄緑野郎と罵られ暴力を振るわれていた。
「ひどい・・・」
「あぁ。あれは放っておいていいんです。なにぶん娯楽の少ない環境なのでああ言うストレスの捌け口役も必要なんですよ。彼もそれみシビュラに見出されてここに来たんじゃないですかね」
「ですが、色相が濁ったり・・・」
「社員の色相が濁ったら直ぐに移動させていますので大丈夫ですよ。きちんと色相には対応しておりますので」
工場長は人畜無害そうな顔でにこやかにそういった。
『そうですか。素晴らしい対応ですね!』
全員が有り得ないような顔で俺を見ている。けれど構わず続ける。
『そういえば、郷田さん貴方・・・確か娘さんがいらっしゃいましたよね?』
「あぁ。自慢の娘ですよ。朱芽といって妻に似て気立ての良い美人な娘です。それが何か?」
そうですよね。“世間から”の評判はそうなっていますよね。娘さん。
『私立桜霜学園の姉妹校の桜陽学園の生徒さんでしたよね。優秀な娘さんで羨ましいですよ。お父様なら鼻が高いでしょう?』
「えぇ、まぁ。桜霜学園に入れなかったのは残念ですがね」
『そうですよね・・・』
そういいながら、スーツの内ポケットに入れていた写真を見せた。あ、良い顔。写真写真〜♪
「そ、そんな・・・」
『とっくに娘さんなら退学になってますよ?
本当に美人な娘さんですね。これなら有名な娼婦としていくらでも男を集められますよね。お父様も鼻が高いでしょう?親子揃ってこんなにも素晴らしいなんて、シビュラはなんていい所に就職させたんですかね。
シビュラを扱う我々からしたら、こんな汚物を親は悪環境掃き溜め工場へ、娘は娼婦館へやるなんて鼻が高いですよ』
「あ・・・あぁ・・・ぁ・・・そん、な・・・」
郷田は崩れ落ちて壊れたようにずっと何かをブツブツ呟いていた。
ふと、オフラインでも使える高性能簡易スキャナを使って色相を計測してみた。
《犯罪係数 89.4
執行対象ではありません》
『良かったですね。執行対象外ですよ』
郷田を無視して、まだ片付けをしていた黄緑野郎・・・もとい金原祐治の手伝いをしに行った。
『大丈夫ですか?今、代わりのものを貰ってきますね。片付けたトレーを貰えますか』
「い、いや。僕はこれでいい!!」
『あ・・・』
金原は俺から逃げるように走り去った。行先はおそらくトイレの個室だろう。
『汚いから床を拭いておくか・・・』
食堂のカウンターに置いてあった雑巾を借りて昼食がばらまかれて汚れた床を拭いた。
社員たちの嫌悪の視線と、常守たちからの良くやったという視線を感じながら。
靴を鳴らしながら早足で来た宜野座さんに怒られた。どうやら郷田が抗議したらしく俺へ何かしらの処分を求められたそうだ。
『大丈夫ですよ宜野座さん。どうせもうすぐあの郷田はここをクビになりますから』
「なんだと?どういう意味だ」
『犯人が分かりました。犯人が犯行に至った経緯もその動機も』
「何!?誰だ!」
『まぁまぁ落ち着いてください。説明は全員が集まってから順を追ってしますから。どこか一室借りれますか?』
「あ、あぁ。許可を貰ってこよう」
宜野座さんは来た道を戻って行った。まがりなりにもここの最高権力者は郷田の為、許可をもらいに行ったのだろう。
『さて、そろそろ終わるかな
八王子ドローン事件』