NARUTO

□トリップ1
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少女は普通だった。
勉強はそこそこで普通に進級出来る点数。運動は普通に人並みに良かった。日常生活でも多くはないけれど仲の良い友人がいた。毎日普通に楽しく・・・

平凡で普通の少女だった。

始まりは何でもない。学校から帰宅し、母から「おかえり」と迎えられ「ただいま」と言って私室へ荷物を置きに戻った。時間的に夕食時で、直ぐに母が「ご飯よー!!」という声が遠くから聞こえ食卓へ向かった。父はいなかった。少女が物心つく前に事故で亡くなったそうだ。少女は母と何気ない世間話をして夕食を楽しんだ後、お風呂へ入り、疲れていたので直ぐにベッドへもぐった。眠気はすぐにやって来た。少女は睡魔に誘われるままに微睡みの中目を閉じた。

そして、肌寒いことと森特有の青臭い様な匂いで目が覚めた。

「・・・・・・」

少女は呆然としていた。仰向けの体勢であったため目を開いた瞬間、目の前に少女より背の高そうな木が緑の葉が咲くようにして現れたのだ。言葉も出ず、風に揺れる緑の葉をぼーっと見ていた。

だがようやく頭が回転し始めたのか、素早く立ち上がり辺りを見回していた。

木、木、木、木、木・・・

四方八方、木だけだ。もちろん、人1人すらいない。ここがどこかも分からない。ゆえに八方塞がりになっている。

「ちょ、ちょ、え?どこなのココ!?・・・私ベッドで寝たはず・・・なのに、何で、森・・・?」

少女には完全に理解不能だった。私室のベッドで寝たと思ったら、森。少女は考えられる事をあげていった。

「考えられるのは・・・

1.誘拐・・・私を誘拐してもメリットはない。誘拐するならどこかの社長でも誘拐して身代金を要求した方が1回で大金が入る。×

2.母に捨てられた・・・シングルマザーが嫌になり、私をどこかの森へ捨てた。これもない。母は自分の意見ははっきり言うタイプだし、出ていって欲しいのなら私へ面と向かって言うはずだしな。×

3.・・・は、いや、流石にねぇ・・・?」

少女は常識では有り得ないと3番目は頭の片隅へ放棄した。とりあえず、ここが日本であれば帰れる確率は高いはずだ。どこかの交番で保護してもらえれば、後は流れで帰れるだろうと楽観的に少女は考えていた。そんなレベルの事態ではなかったのに。

「おい、ここで何をしている!!」

「(え・・・嘘でしょ?





木ノ葉の額あて・・・?)」

男が額に付けていた板には、少女の世界で人気の漫画【NARUTO】の木ノ葉隠れの里の印があったのだ。

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