NARUTO

□トリップ3
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主人公side

拷問部の入口はぱっと見は普通に見えた。だが1歩入った瞬間見えたのは、椅子とそのまわりには飛び散っている赤いナニカだった。赤いナニカは椅子を中心に広がっており、遠く離れた壁にまで飛んでいた。

私は部屋の中心にある椅子に、手足を縛られ目隠しをされた。視覚を遮断された為、視覚以外の器官が敏感に血生臭いことや椅子が湿っていることを感じ取っていた。

私を縛ったカカシは明るい声でさよならを言った後、無情にもなんの説明も無しに部屋から出ていってしまった。これからどうなるかも分からない時に、視界は真っ暗で部屋は冷気が漂っているかのように寒かった。これからどうなるんだろう・・・何をされるんだろう・・・

そんな不安と恐怖が頭の中を占めていた。









正確な時間は分からないけど、少なくとも1時間は経ったと思う。あれから誰も来ない。この1時間の間、多少は落ち着いてきた。火影室では心臓がバクバクで破裂するんじゃないかって馬鹿な事を考えたけど、今はどく・・・どく・・・と一定のリズムで動いている。その音に少し安心した。

そろそろ誰が来てもいい頃だと思うのだけれど、生憎私は忍者では無いので足音や気配で分からない。

暇だ。こんな状況で言ったら間違いなく殺されそうだが、今は私以外この部屋にいないので咎められることは無い。私は木の下で頭の片隅へ放棄した考えを引っ張り出していた。

3.異世界へトリップした、という可能性を。

私の趣味で小説を読むことが好きだった。暇があれば色々なサイトを巡ったりしていた。特に私が読んでいたのは人気漫画【NARUTO】のトリップもの。主人公がナルトや仲間に助けられながら、アカデミーに通ったり修行したり、時には敵を倒したりしているのを見ているのが何よりの楽しみだった。憧れはあったけど所詮は話。実際にトリップなんて出来るはずないと思っていた。

けど私はキャラに会った。はたけカカシ、猿飛アスマ、紅夕日、シズネ、5代目火影の綱手。コスプレではないことは感じた殺気で分かっていた。私は憧れていたトリップに成功していたのだ。けれど喜べるはずがない。理想と現実は違う。小説の主人公は幸せ。私は拷問を受ける。

「何で成功しちゃったんだろう・・・」

ポツリと自分の運命を恨んだ。

バンっ!!

「お前の拷問を担当する森乃イビキだ。せいぜい堪えろよ」

拷問のスペシャリストなんて、クソくらえだ。

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