07-GHOST
□忍び寄る闇
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テイトが1人、暗い教会内で座って考えごとをしていると、暗闇から1人の老人が現れた。
「隣に座ってもええかのう〜」
「どうぞ」
老人はポスッと座った。古ぼけた写真を取り出すと、大事そうに表面を皺が刻まれた手で撫でた。その表情は愛しくもあり、悲しみをもっていた。
「家内が死んでしまってな・・・」
要するに、妻が死んでしまった老人は帰る場所が無いと悲観に暮れていたらしい。
「なんじゃ・・・お前さんもワシと同じ目をしてるのう。もしかしたら神様がこの場所で巡り合わせてくれたのかも知れん。もし良かったら・・・聞かせてくれんか?」
甘く優しく麻薬のような言葉に、テイトは記憶に残っていた過去を脳裏に思い浮かべていた。
楽しかった、幸せだった、思い出。
でも、最後は・・・
「少年よ、何を思った?」
テイトは酷く怯えながら記憶の断片を語った。それはあまりにも酷な記憶だった。
「ファーザーが、俺を育ててくれた・・・死んでしまった・・・」
「もし、本当にお前が魂をかけて願うなら
【ワシが叶えてやろう。
何を願う?】」
泣きながらテイトは言った。
「ファーザーに逢いたい・・・」
「【お前の願い しかと聞き届けた】」
その瞬間、テイトの胸元に花の様な模様が現れた。それはコールに魅入られた者の証。
テイトの目の前には揺らめくファーザーの姿が現れた。ファーザーの表情は悲しさの反面嬉しさがあった。
「どうしたのですテイト=クライン。こちらの世界には来てはいけないというのに。元の世界へお帰りなさい」
「ファーザー!!」
指先が触れようとした時、胸元に挿してあったシルバーローズが弾けた。テイトの後ろには鎌を持った死神が現れ、幻影のファーザーを斬った。
「死者に逢うことはゆるさねぇぜ」
斬った瞬間、テイトの視界に入ったのは守るように前に立つ3人の後ろ姿だった。
「心を闇に喰われるな
テイト=クライン!!!!」
その声でテイトの意識が覚醒した。
「ずいぶん勝手なことしてくれたなコール。教会にはサンクチュアリの掟が存在すんだよ。お前こそ“そんな願い”を叶えていいのか?」
「【お前にその子の価値など分かるまい。連れて帰れば我が主は、きっとお喜びになられるはず】」
「ガキはやれねぇ。それより、こいつを持っていった方が主は喜ぶんじゃねぇか?」
フラウがそういいながら、腕から出ていたのは巨大な鎌だった。鎌を見た瞬間、コールは表情を怒りに染めた。
「【なっ!まさかその鎌はあのお方のっ!?何故貴様がその鎌をおおおおお!】」
コールは激昂した。