短編
□PSYCHO-PASS
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『おっはようございまーす!
今日も事件解決目指して日付が変わる前に帰りましょう〜』
俺が住んでいるこの部屋は公安局刑事課一係にあてられた一室だ。相手には事欠かないが全員出動の時は、留守番として俺一人残される為少々退屈なのはどうしようもない。
「おー・・・しっかしレオ。お前なんかまた部屋の内装変えただろ。なんだこのファンシーな部屋は!ピンクが目に痛い!」
「よく言った縢。さすがにおっさんにはきついぜこの部屋は」
縢、征陸執行官二人に文句を言われた。ならばもう物品の優先予約はしないようにしよう。そうしよう。
「私は好きよ。二人共枯れてるんじゃないかしら?」
『弥生ちゃん・・・泣』
「・・あとで物品の優先予約頼める?」
『・・・もちろんです!!弥生ちゃんの頼みならば!』
欲に忠実な弥生も大好きです。
二人が物品の優先予約を取り消されるのを理解したのか慌て始めたが後の祭り。もう知らない。
『でもさすがにピンクは無かったですねー・・・元に戻しておきますね』
「そう」
「「ふぅ・・・」」
安心したような二人の声は無視しましょう。
「おはようございます!」
ちょうど色を戻した時に常守監視官が出勤した。今日も色相が綺麗なクリアブルーで色相美人だ。
『おっはようございます朱ちゃん。今日も色相美人で何よりです』
「あ、おはようレオ。もうからかわないで」
『いや、すみません』
少し頬を膨らませてお怒りの朱ちゃんは自分のデスクへ向かった。
失敗したなぁ・・・後で謝ろう。
それから残りのメンバーが次々出勤して八時前には全員揃っていた。
ぴぴっ
『皆さん、お仕事です』
「常守監視官。いくぞ」
宜野座監視官が声をかけ全員が出ていってしまった。
先程までと違う静かになった部屋。
留守番の俺だがコウさんから頼まれている仕事がある為、ホロを消し調べるためシヴュラの中へ戻り身を沈めた。
「あ"ー疲れた!何が新世界の神になる!だよ。一人でやってろ中二病!」
「全くだ。あんなバカに付き合うならトレーニングでもしてた方がマシだった」
「時間の無駄だわ」
「えーっと・・・・・・」
どうやら今回の犯人はちょっと頭のネジが何本か飛んでいたようだ。
名前:高本 優人(故)
職業:エンジニア
家族構成:父、母、妹
備考:優秀な優秀なエンジニアであったがその才能に嫉妬した者に虐めにあい会社を辞めた。以前とは別人のように社交的になり様々な人脈に顔がきくようになった。
犯罪係数:450(執行済み)
どうやら中二病を拗らせて犯罪係数が300オーバーしてしまい執行対象となったようだ。皆さんの口ぶりからしてかなり精神的に疲れるような人だったんだろう。
『お疲れ様です!何か飲みますか?』
「マジで!?オレ、オレンジジュース飲みたい!」
「俺は濃いめの熱い茶を頼む」
「アセロラドリンクを頼むわ」
「俺はスポーツドリンクで」
「俺はコーヒー。無糖で頼む」
「わ、私はリンゴジュースをお願いします」
皆そんなに喉が乾いてたんですか・・・
期待にそえるようしっかり作りますよー!
まず縢のは俺が畑で育てた天然オレンジを使って果汁100%で作り、
征陸さんは高級茶葉を濃いめの熱めでいれ、
弥生ちゃんはアセロラを搾り水で少し薄め味を整えてビタミンや美肌成分をいれ、
コウさんは化学調味料ばかりなので良い天然水で溶き、毒素を排出を促すりんごを付けて出し、
宜野座さんは高級豆を挽いてじっくり抽出したものを出し、
朱ちゃんはこれまた畑で育てた天然りんごを搾って出した。ちなみにコウさんのりんごも俺が育てました。
『お待たせしました〜』
全員に順番に配った。コウさんは例外だが飲み物+合う菓子がそれぞれ付いている。飲み物との相性も大切だがそれぞれの好みや栄養バランスを考えて毎回違うものを用意してある。
もちろん菓子も手作りだ。
「うんめー!!やっぱハイパーオーツとは大違いだな!」
「茶も美味いが、付いてる菓子も茶と合って美味い」
「・・・美味しい」
「りんごが瑞々しいな。ありがとう」
「美味い。淹れ方が上手いな」
「美味しい!こんなリンゴジュース初めて飲みました!」
それぞれ好評のようで良かった。
飲み物と菓子のおかげで少しずつだが犯罪係数が下がっていることに皆は気がついているのだろうか。
朱ちゃんなんてホワイトに近い。
俺のちょっとした夢は願わくば執行官なんて辞めて普通の自由な生活を送ってほしい、なんて考えてたりする。
悲しい、なんて少し思ったりする時もあるが。
潜在犯へ落とした機能の末端がそんなことを語ってるなんて笑える話だろうが。
作者より
人工知能ホロと一係のある日常を書いてみました。このホロは一係の人たちを守るためシヴュラに反抗し、後々シヴュラから独立します。だから縢も征陸さんも死にません。多分そのうちこのホロの管理下にある家的な所で隠居生活でもするんじゃないでしょうかねぇ・・・(笑)