短編
□妖狐✕僕ss
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メゾン・ド・章堅
通称「妖館」と呼ばれる最強のセキュリティマンション。
しかし、本当は妖の先祖返りした者が純血の妖怪から身を寄せ合って生きることを目的としたマンションである。
住居者には1人につきシークレットサービスがつく。もちろん先祖返りだ。
全国に何箇所もある。
この私、不破神 多々良も住んでいます。
『ここは本当に平和でいいねぇ・・・』
のんびりと屋上で本を読みながら、桜舞う空を見て呟いた。
春は新たな出会いの時期。
引越し業者の近くにいる少女をぼんやりと見ていた。
「全く・・・御狐神くんは・・・」
新顔の少女がラウンジで朝食を食べながら彼女のシークレットサービスに怒っていた。それでもお礼を忘れないのは彼女の心の清らかさが出ている。
『こんにちわ。新しい子かな』
「こ、こんにちわだな。あなたは?」
『私は、901号室の不破神 多々良と申します。以後よろしくお願いします』
「ご、ご丁寧にありがとうございますだな。白鬼院 凛々蝶です」
『礼儀正しい子で良かった。白鬼院さんこれあげますね。お近づきの印です』
「あ、ありがとうございますだな」
『では、またあとで』
不破神はゆっくりと歩いていった。
凜々蝶は貰ったものを見て首をかしげた。
「何故、御札なんだ?」
凜々蝶はまだ知らない。不破神は自然災害並みの不運の持ち主で、御札を持たない人は敵味方関係なく無差別に不幸が訪れるということに。
『ん〜・・・?あ、夏目くん』
「ん?あっ不破たん☆おはよ〜!
今日は大丈夫?噴水とかに落ちてない??」
『大丈夫だよ。そんな頻繁に落ちたりしないって〜』
「・・・いやいや、不破たんはそれがあるから心配なんだよ☆」