短編

□ひとつの人生
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今でもずっと好き。









それまでまったく話したこともなかった彼と仲良くなったきっかけは、1年の冬に席が隣になったことからだった。
初めは、私よりも頭一つ分飛び抜けて大きく威圧感がありあまり好きではなかった。何より、その時には私は別の人と付き合ってて興味がなかった。

でも、当時付き合ってた人が彼と同じ部活仲間でまだまだ知らないことを教えて貰ったりした。その時には、あ、いい人なんだなって言う感想。

そのあと、私はクリスマス目前でふられた。正直、悲しかったけど理由があまりにも幼稚でガッカリしたことを覚えている。

それから半年間が空いて何回も席替えがあった。もう彼氏なんて面倒だからいらないと思ってたら、友達から意外なことを聞かされた。

彼が、可愛いし付き合うなら私か○○ちゃんが良いと言っていたらしい。

それを聞いた時、ビックリしたけどそれでかと納得した。
休み時間にぼけーっとしてるとなんとなく視線を感じることがあった。
最近、その回数が多かったから誰かな?と思って探してみたら彼だった。友達と何か話してたから、私の話題でも出たのかな?とその時は軽く考えてた。

私は人から好意を向けられるのがあまり得意ではなかった。だから視線の理由がそういう意味での物なら別の子に向けさせようと思った。
まず、LINEは持ってたから彼の好みからいけそうな子を身代わりにしようと思ってクラスの子を順々に彼に聞いてみた。幸い私のクラスは美人や可愛い子が多かったので正直誰でもいけたと思う。最終的に数人と○○ちゃんが最有力候補で、○○ちゃんとくっつけようと思った。部活的に彼も○○ちゃんも話題には困らなそうでいいカップルになりそうだなっと思ってたけど、少ししたら自然にLINEも終わっていたらしい。失敗かと思って、別の子もすすめてみたけどそれも失敗。

どうしようかな?って悩んでた時、ふと失敗してよろこんでいる自分がいて唖然とした。LINEを送り合っているうちに少なからず彼を嫌いではなくなっていた。

でも私は自分に自信がなかった。可愛くもスタイルがいい訳でもない。頭もどこか抜けていて、正直自分でも嫌になるくらいアホだ。
それに比べて、彼は顔が良くて身体も筋肉が綺麗についていて明るかった。
話しも、下ネタとかなら合ったけど他はあまり趣味が合わない感じだった。

到底無理だと早々に諦めて、LINEを終わりにしようと既読無視やスタンプだけで返事をして終わりにした。はずだったけど彼はなかなから終わらせてくれなかった。
仕方がないから、好きな人が出来たって言って終わらせてもらおうとおもったら、誰なのか興味津々で聞いてきた。
いや、お前だよ。と内心思いながら曖昧に流してたけどある日彼の罠に引っかかってしまった。
何日も好きな人を聞いてくるので、クラスで今LINEしてる人と答えてしまった。あの時はもうなんか判断力がおかしかったと今思う。その時彼はふーんと言う反応だったから、あ、興味が薄れたのかな?と思って安心してた。

ら、罠にひっかかった。
クラスの男子グルがあり、彼がそこで聞いてきたと言ってきた。心臓飛び出るかと思った。その時、彼以外に男子とLINEしてなかったので、やばい、バレた!!と思って焦った。

その時は私が嘘を言ったと言うことでおさまったけど悪いドキドキが止まらなかった。

でも、さすがに思った。
これバレてるよねって。

もう恥ずかしさや色んな感情でぐちゃぐちゃだった私は、ふられる覚悟で告白した。

すると、答えはok。

あれ…………?
彼が部活へ行く前に告白したので、彼が行ったあとに1人でぽかーんとしてしまった。ふられる気満々だったから、色々振り切れて爆笑して友達に心配された。

後で聞いた話だけど、グルで聞いたのは嘘で、いくら聞いても好きな人を言わない私を素直にさせるためだったと謝られた。
許した。

その後々楽しかった。
デートしたり彼の家へ行ったり。
あまりお金は無かったから基本家が多かったけど楽しかった。

1年と少しとても楽しかった。

彼が部活の仲間と仲が悪くなって辞める時、お前がいてくれて良かった、1人じゃ耐えられなかったと言われて、彼には悪いけれど嬉しかった。必要とされてる頼られてると。

でもそのときが1番のピークだったのかもしれない。彼は部活を辞めてからどこか変わった。自由な時間が増え、外へ興味が向くようになった。私は学校の委員会の仕事や、2年の後半には副部長も任されいつも疲れていた。土日は休みたいのと彼にあって癒されたいのが強くあまり外へ行かなくなった。

そこからかな?慣れもあったのかもしれないけど、私の扱いが雑になった。私にはいつも不機嫌な顔なのに、他の子にはニコニコ笑って。喧嘩も多くなった。話を聞いてくれなくなった。頼ってくれなくなった。

もうだめだって思った。分かってるのに好きで悲しくて辛くて。初めの頃の幸せな時に戻りたかった。

でも無理だった。
好きなのに嫉妬で心と身体がついていかなくて、もう何にイライラしてるのか分からなくなって彼との溝はもっと深くなった。

決定的だったのは、同じ委員会の彼の1番中がいい男子だった。
別の男子から聞いたんだけど△△ちゃんのこと可愛いって言ってたって、次付き合うなら△△ちゃんだって。私には絶対言うなよって。耐えきれなくて泣いた。もう嫉妬と絶望で感情が抑えきれなくて死にたくて死にたくて仕方がなかった。

しばらくしたら怒りがわいてきた。
彼に速攻LINEして、これからどうしたい?と。別れたいと一言。
LINEじゃ埒が明かなくて電話した。
私はこんな話しを聞いたんだけどどういうこと?と問い詰めたら、本気で怒ってた。彼から聞いたと言った男子は元々虚勢癖があり、その男子の嘘だった。本気で殴りたくなった。

でもそう分かっても、別れたいという彼の気持ちは変わらなかった。私の嫉妬や計画性がないのが耐えられないと。計画性がないのは本当に申し訳ないと思った。けど嫉妬は彼のせいだ。

でも彼も私に言われてから女の子と話しても、離れてはなすようにしていたと。あ、してくれてたんだ気づかなくてごめんと思ったけど、そもそも微々たる差でまったく変化が分からなかった。

2時間、電話で今まで互いに溜まっていたものを吐き出していった。最後の方にはもう互いに何だか分からなくなって号泣しながら別れた。

結局、1年と少し続いた関係はあってなく終わった。



あれからまだ半年くらい。
色々あってまたよく分からない関係になった。付き合ってはいない。私は好きだけど、あっちは私をどう思ってるか分からない。少なくとも好意は持ってないと思う。

もうこのままズルズル未練たらしいのは止めろと、友達に言われた。確かに、と思った。だから期間を作った。20歳まで彼を想う。20歳まで彼に褒められた髪をのばす。一種の願掛けかもしれない。
20になったら髪を切ろうと思う。

あと1年と少し。
きっと付き合えないとわかってる。
未練たらしくて目も当てられないのもわかってる。でも好きで好きで仕方がない。
きっと20歳になってもまだ好きなんだろうと思う。でも期待するのも好きでいるのも止めるようにする。

彼だけが私を愛してくれた人だった。
これから先は分からないけど、たぶん私はあと70年以上ある人生で誰かと付き合うのも、結婚するのも、子供を産むのも体験することはないと思う。

もし、ここまで読んで下さった方がいたら御礼申し上げます。

つい、昨日彼が幼馴染と楽しそうな写真を見てしまいこの場で吐き出させて頂きました。お目汚しかと思われますが私の心を誰かに知って欲しかったのです。

ありがとうございました。

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