人生は試験だ

□土蜘蛛編
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おまけ
『で、27代目はなんて言ってたの?』

「そりゃあ初めはひどく憤慨していたさ
でもな、今の京都の状況からして一人でも陰陽師が欲しいってところだったんだろうな
快く、らせんの封印を張るまでの間だけの活動を許してくれたさ」

『ふーん、春光って結構強い陰陽師だったんでしょ?』

「そりゃあな、小さい頃からバンバン破軍出して遊び相手にしてるわ、独自の結界術編み出すわで28代目の有力候補にもなったしな…ま、これも全部20年以上昔の話
俺が吸血鬼の女とかけ落ちするって言ったら破門されたんよな…西洋の妖怪だ!陰陽師あるまじき行為って…
いいじゃんな、別に……」

『あ、うん……当人が良ければ』


突然意見を求められてリクヤはたじろぐ。


「ちなみ俺と奥さんの馴れ初め聞く?
……聞きたいみたいだな」

『いや、別に……』


否定するリクヤを他所に春光は語りだした。
そしてリクヤは思い出す。
そうだ、この人奥さん大好き人間だった、と。


「初めての出会いは京都の山奥
俺が18になったばかりのころ、そこで修行してたんだ
その時崖の棚になっているところに一人の女性が倒れてたから介抱して、なんやかんや色々やってるうちにお互いに惹かれていって…
初めに会った時にこの人は妖怪だって気づいてた俺からすると告白した矢先に吸血鬼なんです!ごめんなさいってカタコトの日本語で断られた時の驚きは少なかったけどね…
綺麗な銀髪で赤い目でさ日本のアイドルに憧れて実家を飛び出してきたは言いものの京都の上空で力尽きて墜落して来たって……
軽くラピュ〇かな……って思ったよね
回復のために血が欲しいとか言われた時はどうしようって思ったけど、定期的に血をあげてる今も吸血鬼になってないから大丈夫なんだと思う」

『え、やっぱりあげてんの……』

「血をあげたあとは、血が足りないなーって気がするけど俺の血なんかで喜んでもらえるんだったらいくらでもあげちゃうよね……
ま、普段は普通の人間の食事でも大丈夫らしいから滅多にあげてないけどね」


リクヤはまた一歩春光から距離をとる。


『え、それ三月も……?』

「んー……普段は封印で抑え込んでるんだけど、何かのきっかけでそれが解けちゃったら危険かも
その時はリクヤが血をあげるだぞ」

『……!?』


石化したようにリクヤは動かないが冷や汗はつるつると流れていくのだった───


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