師匠的な?

□入隊選別
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『大丈夫だ、行ってこい!!』

「選別通って帰ってくるから待っててくれよな!」

「天元さまぁっ!!寂しいです!」

「ちょっと須磨ぁ!天元様の足にくっついてちゃ歩けないでしょ!」

「信じてます!」


などと騒がしく藤襲山の入山口で銀達は選別に向かう宇髄を見送る。
選別が行われる7日間のあいだは宇髄抜きの四人でその帰りを待つことにしている。
宇髄には銀の刀を持たせてあるため、選別に行っても鬼の首を切ることができる。
刀を持たない銀はその間鬼に遭遇出来ないので、付近の藤の家紋の家に宇髄の嫁3人とともに厄介になる予定である。


『武運長久を祈る!』


小さくなっていく宇髄の後ろ姿に銀は腹式呼吸で呼びかける。
声に気付いた宇髄はひらひらと手を振って答えた。


『さて、天元の強さなら選別は無事にクリアするとして、私達は何して待とうかね
近くにあるものといやぁ…団子屋くらいだが……』


宇髄の姿が見えなくなり、ふいに宇髄の嫁が悲しそうな空気を流したので銀は振り返って元気づけようとする。
団子…という単語を聞いてか須磨の目がパァっと明るくなった気がした。


『そいじゃ、団子でも食べますか……!
今日は私の奢りさね』


銀は2回ほど手を打って空気を仕切り直す。
奢りと聞いて三人の顔が嬉しさでいっぱいになる。



『おばちゃん!三色団子とみたらしと餡子それぞれ4本づつちょーだい!!』

「はい、まいどー」


店頭の長椅子に4人は腰掛ける。
抹茶とか和菓子が出てきてもおかしくない昔ながらの傘付きの赤い椅子だ。
しばらくため息をつきながら、地面をつつく雀を眺める。


「どーぞ、ごゆっくり」


コトリと団子が盛られた皿が3つおかれる。
それぞれ好きな団子を一口かじる。
団子をもちゃもちゃ食べながら、宇髄のことや世間話、過去のことなど色々と話をした。
宇髄の家族のことや忍の話は壮絶なものがあり、銀は何度も驚いた。

そうこうしていると日が暮れて来るもので、烏の鳴き声がよく聞こえるようになる。
藤襲山の近くであるので鬼は少ないにしても、危ないことに変わりはないので、四人は団子代を支払い団子屋を後にした。


『天元が選別通ったら、日輪刀が出来るまで待ってなきゃならねぇ……
お前さんたちが良かったらの話だが、私の師匠のところに行かないかい?
この季節だと…そうだな、桃が美味いんだ。』

「銀様の師匠のところですか…」

「行ってみたいです!」

「桃……」


3人が同意する。
嫁が3人も同意したとあれば宇髄も断れないだろうと銀は勝手に次の行き先を決める。
団子屋を離れ30分ほど歩けば目の前に立派な佇まいの藤の家紋の家が現れる。


「あれが藤の家紋の家……」

『そう、鬼殺隊に昔助けられた人々が善意でやってくれているんだ』


銀が予め鎹鴉をつかい手紙を送っていたこともあり、4人が家の門に着くか否やで門が開いた。
中から腰を曲げたおじいさんとおばあさんが出てくる。


「鬼殺隊の方々ですね、お待ちしておりました」

『あ、どうも、7日間お世話になります』


おじいさんとおばあさんに案内され、四人は屋敷の中へ入っていった
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