師匠的な?
□別れ
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正午を過ぎた頃、銀達は師匠の元へ着いた。
『師匠〜ただいま戻りました』
ぐわらっと戸を開ける。
師匠の家までの間に何人かの弟弟子達を遠目に眺めて来たが任務に出ている間にまた何人か増えたようだ。
「よく帰ってきたな……そっちが……宇髄天元だな」
囲炉裏の前でぐつぐつと何かを煮込んでいる師匠
──桑島慈悟郎は顔を上げる。
『師匠、それは桃ジャムですか?』
「手紙に書いてたろう……桃が食べたいと」
「「「え!桃ジャム」」」
桃ジャムと聞いて後ろで控えていた宇髄の嫁達が戸口からひょっこりと顔をだす。
目をきらきらと輝かせている。
『そのジャムこの3人にも分けていいですよね?』
「もちろん…いや、しかし
まさか銀が女を連れ帰ってくるとは……」
『あー手紙にゃ書き忘れてたか…
実はこの3人は天元の嫁で私の女じゃないんですよ』
桑島は目を丸くした。
『まぁ、初めは驚きますよね
私もそうです。
でも、この4人見てたら凄く仲が良くて…なんかもう深く考えなくていいかなぁ…と思えて来てしまって……』
「お前がそう言うならそうなんだろうな」
頷きながら桑島は器にジャムを注ぐ。
何処からかパンを持ってきて器に添えた。
「出来たぞ」
『わーい!私師匠のジャム大好きです…ありがとうございます
…ほら、天元も、3人も食べにおいで』
銀は遠巻きに見つめている宇髄達を手をこまねいて呼んだ。
スっとパンを手に取りジャムを付けて口に運んだ宇髄が思わず、うまっと声に出した。
銀達はパンを片手に話をした。
手紙には書ききれなかったあれそれを日が暮れるまで話した。
日が落ちたころぞろぞろと弟弟子達が家に戻ってきた。
銀より少し後に入ってきた者とは顔見知りだったので再会を喜びあったり、初見の者とは軽く挨拶をしたりした。
夕飯は銀達が土産に持ってきた東京の食べ物や魚を使って普段よりも豪勢なものになった。
次の日から銀達は刀が出来るまでの間を師匠の元で修行して待った。