人生は試験だ

□前世編
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───あぁ…俺はもう死んだんだな。
とそこに倒れている自分の姿を見てこの物語の主人公。山田清人は思った。

自転車に乗り、カラオケから家への帰宅途中、トラックとぶつかり事故にあってしまった。
そして今のこの状況に至るということである。

血を流し、倒れている自分の姿を上から眺めている。いわゆる幽体離脱である。
最初は怯んだ清人もしばらくすれば気を持ち直し考えを巡らせた。

そして幽体離脱をしても、本体に戻れば生きられるかもしれない。
そう思った清人は本体に戻るべく空を飛ぶ。

あと少し…そう思った矢先何かに引き寄せられる。
何事かと後ろを向けば、赤い輪が廻っている。
あれが噂に聞く“輪廻の輪”なのだろうか。と思っているうちに引き寄せられ、清人の魂は吸い込まれていった。

しばらくして柔らかい温かみを肌に感じた。



…ここは……暗い…何も見えない…
…でも…落ち着く…



清人は何処かに浮かんでいた。



…あれはなんだろう…



真っ暗闇に輝く一筋の光。それは清人の好奇心を震わせる。
光をもっと見ようと近くに寄れば、もっと光は強くなり、そこは暗闇ではなくなった。




『オギャー』


「若菜様。おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」


「ふふ。元気な子。」


彼女達がそう言ったのもつかの間、若菜と呼ばれた女性をさらなる陣痛が襲った。

そして、産声があがる。


『オギャァー』


次の瞬間、襖がスパーンと開き、男の人が飛び込んできた。


「若菜ぁーー!!」


「大丈夫かっ!!」


「よくやった。頑張ったな。こいつらも元気そうで何よりだ。」


「ふふ。鯉伴さん。あり前でしょう。私とあなたの子ですから。」


一番に入ってきたこの全力疾走した事が丸分かりの男が、子供の父親のようだ。


「若菜さんや。ご苦労じゃったな。これで奴良組も安泰じゃのう。」


「ええ。おとうさん。」


若菜に声をかける老人が、子供のおじいちゃんである。

それから暫くは、多くの者が喜び盛大に祝った。

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え、どこだ…??ここ……は??……転生……しちゃったの…マジ…?…転生って凄くね…!?…まさかホントに死んだら転生するとは……

…と言うより……さっきさ…誰か若菜って…言ってなかった…??あと鯉伴って……
…まさか…なぁ……いや、そんな…わけ…ないよなぁ…
…ないよな??……ないな…うん…たまたま同じだけだったんだ……それか…聞き間違えたんだ……うん…きっとそうだ…

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という事で、トリップした先はぬらりひょんの孫の世界でした。



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