人生は試験だ

□遠野編
1ページ/5ページ

ピクリと指先が動き、聞こえた小さなうめき声にリクトはバッと顔をあげる。

暫く顔を覗き込んでいると、リクヤと目が合った。


『…あ…れ……ってうぉおっ!!』


嬉しさのあまり勢いよく抱きしめれば、抱きつかれたリクヤは目を白黒させる。
更に強く抱きしめれば蛙が潰れたような声をだしつつリクヤもリクトを抱きしめる。


しばらく2人で体大丈夫か?などと話していると「おー。目が覚めたかー?」とガラリと襖をあけて淡島が入って来るなり、目の前の光景を見るとそーっと後ずさりして「…じゃ、邪魔したな……」と言いつつ部屋から出て行こうとした。


『え、あ…!!
ちょっとまって!!誤解だよ!!まってッッッッッッ』


抱きつくリクトにはそれが見えてなかったが、リクヤにはしっかりと目をそらしながらやばいもん見ちまったと冷や汗を流す淡島が見えたので慌てて引き止めた。

その後引き止めた淡島の誤解を解くべく事情を話したが、なかなか信じてもらえずリクヤは焦った。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

淡島side

そろそろ目が覚めるんじゃないかと思い様子を見に行く為に廊下を歩いていると、部屋の方から何か物音がした。
おお、目が覚めたんだなと思い襖を開けると、俺は自分の目を疑った。

茶髪がさっきまで寝ていた黒髪を押し倒したり、抱きしめたかと思いきやおでこにキスしてみたり…とにかく一瞬だが自分の目を疑った。
この状況をどうすればいいんだと、2人に目を戻すと黒髪の方と目があってしまった。

さっきまで戯れ付く子犬を見るような笑顔だったのにみるみるうちに青ざめてこちらを凝視してくる。
これは見なかった方が良かったのか?と思ったので静かに部屋から退散しようとすると黒髪の方に引き止められた。

俺は何も見てない!!何も見てないからな!!!と心の中で叫んでいると必死に向こうもさっきのは誤解だと焦ってうわずった声で弁解し始めた。

弁解しているのは上辺だけで実は2人が…というものが既に出来上がっているのではないかと疑いつつも、どうやらそうではない様な雰囲気なのでそうではないらしい。
…が、やはり引っかかるのでこれからも観察していく必要があるなと思った。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ