人生は試験だ

□旧校舎編
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「……今年も…またダメか…?」


煙管をくわえてぬらりひょんがぼやく。


「だめですねぇ──…」

「では早朝まで及びましたが…今回の会議でも」

「奴良リクヤ様リクト様リクオ様の三代目襲名は先送りということで…」


やれやれと毎度毎度の流れで飽き飽きしている妖怪幹部達が退散していく中、震えながら「誰も賛成してくれん…」とぬらりひょんが言った。


「仕方ありませんよ…総大将、普段の若達がアレでは」


ぬらりひょんの言葉に仕方がないと指を差す木魚達磨。


「じゃ…お母さん行ってくるね!」

「あらリクオ早いのねぇお弁当用意してないわ〜」

「いいよ…購買で何か買うから」


その先には立派な妖怪どころか立派な人間になっているリクオがいた。


『リクオまてよ』

「もうリクヤ遅いよ!」

「なんであれ以来変化せんのかの〜…リクヤとリクトに至っては遠野へ行かせた甲斐があって変化はするものの…3代目就任を拒否しておるし…」

「あ、お爺ちゃんまた会議?」

『おーお疲れ様〜』


ぬらりひょんの存在に気づいたリクオとリクヤが近付いてくる。


「ダメだよ!悪巧みばかりしてちゃ!」

『そーそー。爺さんは爺さんらしく縁側で茶を啜ってる方がいいぜ?ほれ、茶』

「う…ム…」


リクヤから渡された湯呑みを手にぬらりひょんは返事をした。


「じゃ!学校行ってきます!」


孫達の言葉にガックリとうなだれるぬらりひょんに木魚達磨も同情するしかない。


「いつまでワシが総大将でおりゃあいいんじゃ。早ぅ隠居して楽に暮らしたいんじゃがの〜」

「あいつらが三代目を継ぐのは…いつになるんじゃろうの〜」

「さぁて…どうなりますか……?」


元気よく学校へ行くリクヤとリクオの背中を見て唸るぬらりひょんであった。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

「んんー…あと…五分だけ………ハッ!!」

「リクオ!リクヤ!起きろ!遅刻だ!!」

「…あれ?いない…」


リクヤ達が通学路を半分切った辺りの頃、リクトはまだ布団の中だった。


「ちょっ!なんで起こしてくれなかったのさ。首無ィ」

「えっ!起こしましたよ。ちゃんと…」


リクトは急いで着替えながら近くにいた首無に突っかかる。


「何回!?」

「10回です…
リクオ様は1回目、リクヤ様は2回目、リクト様は10回目でも起きられなかったので、今から11回目に行こうとしたんですが…
起きられたんです…ね」


首無が最後まで言い切る前にリクトは玄関へと駆け出していた。
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