人生は試験だ

□付喪神編
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「………うわぁ」


リクヤは今引いていた。
何故なら朝ご飯が異様に豪華だったからである。
リクヤも同じことを思っていたのだろう、その口からはブツブツと言葉が漏れている。


『理由はわかりきっているけどさ。朝っぱらから魚の活け作りって…』


さらにリクヤが隣に目を向ければ意味がわからないといった表情で青ざめているリクオがいる。


「……こ…これは…?」


不思議そうにリクオが鴉天狗に聞けばひどくキラキラしている鴉天狗が昨日の夜リクオの事や杯の事を語りはじめた。

朝っぱらから二日酔い&寝不足なのに騒ぎ始める妖怪達がこの上なく不愉快に思えたので、活け作りを数口分胃におさめてリクトはとっとと学校へ行くことにした。
因みに魚の活け作り自体は普通にうまかった為、リクヤは満足していた。


『リクオ、リクトとっとと行くぞ』

「…うん」

「…おーう…」


3人とも同じく二日酔い&寝不足のようで足元がふらついていた。



あぁ…今日も学校で勉強しなきゃいけないのか、めんどくさいなぁ…



そう決心したはリクトは揺れる車内でリクヤに一応報告する。


「…どうやら俺は今日、眠りの神に取り憑かれてるらしい」

『…そうか。なら俺がそいつを払って一緒に取り憑かれようか…』

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

学校に着くと下駄箱でリクヤ達はカナと遭遇した。リクオが横でどこか癒されたような表情をしているのを見て、リクヤはリクオに共感する。



うんうんやっぱり可愛いよな…リクオの言葉を借りれば…人間的生活だよなって…
つららも可愛いけれど、人間じゃないし…ゆらは人間だけど普通の人間ではないし……こう考えると凄いよなぬら孫のヒロインって…



「…カナ、おはよう」


「リクト君もおはよう!今日は何時もよりくるの早いね。いつも遅刻寸前なのにね」


「あぁ…うん」


カナとリクトが挨拶をしていたら突然リクヤの肩に重っ苦しい清継が体重をかけてくる。


「やぁ、君たち…ご無沙汰ぁあ──…あの時以来だねぇ…」

「き、清継君…?」

「君たち……見たよねぇ!見たよねぇ!」

「な…何が…?」

「何を?」



アニメの清継見てたらここすげぇ可愛いなとか思ってたけどさ、実際のしかかられていると鬱陶しい。
重い。



「だから!あのときだよ!」


必死の形相で詰め寄ってくる清継の目の下には隈があった。
おそらく気になってよく寝られなかったのであろう。


「確かに居たはずなんだ…旧校舎には…ぼくが求めていた”妖怪”が!!」


そう言いながら清継は器用にリクヤとリクオの胸倉を掴んでガクガク揺さぶってきた。



吐く吐く、俺ら二日酔い何だってば。モザイクかかるよお前の顔に。



そんな事を思いながら、リクヤは清継の話を一応聞く。


「奴良くん!!な、見たよね──!!妖怪──!!」

「し…しらないよぉ〜」

『やめろワカメっ…うぷっ』


今にもゲロりそうなリクヤの言葉にやっと手を離した清継は謝る素振りもみせずおかしいなぁとそっぽを向いてしまった。


「不良と見間違えたんじゃないかしら?」

「おお、君は確か。そっそうだったかなぁ…」

「そーよ。アレ?もしかして気絶でもしちゃってたの?情けないわぁあ──」

「そ、そんな…してないさ!!気絶なんて!!」



焦ってる清継可愛いなぁ…
あ、してないさ気絶なんての所見事な倒置法だよね!!この前授業でやったよね!!
本来の文は、気絶なんてしてないさ!なのに倒置法により入れ替わるんだよな…
俺自身こういう用法に関してはまぁ、なんとなくいけるんだけど…
動詞とか形容詞とかの簡単なやつの見分け方は分かるのに、副詞や助動詞がこんがらがるよな…ってことで前世の時大して詰まってない頭で必死になって闘ってたなぁ…



雪女の言葉に上手く丸め込まれた清継はひとり納得し笑いながらリクヤ達の前から退場していった。


「あ、若達!!勝手に登校しちゃこまります!」


さも当然のように三人のことを若呼びしている雪女にリクヤは、やはりバレやしないかと不安になる。

そんなリクヤの心配をよそに雪女はヒヤヒヤの弁当を渡してきた。

リクヤがまるで保冷剤でくるんだように冷たい弁当を引きつった顔で凝視しているとリクオは何やらつららを引っ張って何処かへ行ってしまった。



リクオ朝から元気だよな…てか、なんか凄く大きい声で話してるよな…ヒソヒソ声じゃなくていいの?めっちゃ聞こえてくるんだけど、二人の会話が…あ、多分これも倒置法。



『…カナ、先に教室行こう』

「え…あ、うん!」

「あの…ごめんなさい」


リクオとつららが影で話しているしている間に、カナを連れて教室へ先に行こうとすると、リクヤとカナは女の子に呼び止められた。


「職員室は何処ですか?」

『...!!』

「転校生かなぁ?リクヤくん」

「方言使ってたしそうなんじゃねぇかな?」

『俺もそうだと思う』


見た途端ゆらだと分かったが、リクヤはあえて曖昧に答えておいた。



ゆらだ!!ゆらだ!!!ゆらだァァッッ!!!これで片手☆SIZEが全員揃ったよ!!俺、昔TKGしか愛せないカラオケでうたってた…醤油醤油醤油をかけて〜♪ってな!!…あれ、今でも歌えるんじゃね?

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

──昼休み

『リクオ…』

「どうしたリクヤ?」


ぼさっと清継と転校生のいる教室を覗いているリクオとカナを一歩後ろでリクヤとリクトは見ていた。

廊下にまで響いている清継の話からして、完璧に今日清継の家に行くことになるはずだという事を直感的に感じたリクヤは、リクオに忠告して帰ろうとした。


『このまま突っ立っていると厄介のに絡まれるぞ』

「厄介?何で?」

『それは勿論ワカm「家長さんと奴良君兄弟!丁度良いところに!」……』


タイミングの悪い事にリクヤの忠告は清継の声に遮られた。


「清十字怪奇探偵団!!今日はボクの家に集合だからなー!!」

『…………』


案の定、清継に呼び止められ厄介ごとに巻き込まれたリクヤは溜息を吐いた。
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