人生は試験だ

□雲外鏡編
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「めんどくせぇ…」

「仕方ないでしょ。奴良くん休んでて習字の課題が提出出来てないんだから」


そう言われ、うっとなったリクトは早く終わらせて帰るか…と黙々と『禁煙』の字を書き始める。


「…せんせ……もう終わりでいい?」


開始してまだ10分も経っていないが、もう集中力が切れたらしい。


「そうね…奴良くん意外に出来るからそれ書いたら終わりにしていいよ」


隣の机の椅子に座っていた国語の先生が言う。


「終わった〜っ」

「はい、お疲れ様でした。次からはちゃんと授業に出るように。あ、さっき電話あって今から職員室に戻るから鍵宜しくね」

「はーい」


そう返事するとガチャガチャと習字道具を片付け始めた。


「あれ?閉まんねぇな…」


無理やり習字セットのチャックを閉めようと詰め込むが、始めに乱雑に入れてしまっていたので一向に閉まらない。

しばらく格闘していたが、もう諦めてチャックを閉めないまま帰ることにした。


鍵を職員室に返したあと、手が墨で真っ黒になっていたので近くのトイレの流しで洗う。



「…のかんな。全然のかん」


爪のあいだに入り込んだ墨と奮闘していればふと名前を呼ばれた。


「リクト…くん?」

「カナ!?…ここは男子トイレだぞ?」


リクトは不思議そうな顔で首を傾げる。
手の爪の墨をもういいや、と諦めてポケットに入れていたハンカチで拭く。


「リクトくん…!!助け…」


そう言って立ち上がろうとしたカナが床に置いていた鞄につまづく。
その衝撃で鞄から先程清継から貰っていた、誕生日プレゼントとはかけ離れた人形が出てきた。


「なんだ、このわけのわからん人形は…」


興味をもったリクトはそれを拾う。
その時、人形が不気味なバイブ音を立てて震え始めた。


「うぉっ…ッ」

「ひぃいいいい!?」
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