人生は試験だ

□二条城編
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──現在

リクオは牛鬼と修行中。
首無は毛倡妓と茨木童子と戦闘中。
土蜘蛛はつららを拘束中。

──そして花開院家本家

とある一室のテレビではアナウンサーが二条城に現れた羽衣狐の城について報道している。


『ただいまー』


がらりと襖を開け、春光との修行から帰ってきたリクヤが入ってくる。
ニュースを見ていた清十字怪奇探偵団メンバーがリクヤの方をみる。
そしてまたテレビ画面へと注意を移した。
二条城にいたアナウンサーが妖怪に襲われたようで悲鳴が上がったり、映像が乱れたりしている。


「ど……どうなってんだ京都…」

「ありえね〜
なんでこんなとこきたんだ〜」


巻と鳥居が頭を抱えて騒ぐ。
それを見て優華にソファに腰掛ける清継が論じる。


「いやいや待ちたまえ君達!!
ここまで妖怪がいる確証のある旅があったろうか?妖怪捜索は元来危険なものさ…これは我々清十字団への試練ではないか!!」

「ふざけんなよ清継よォ!!
てめーだけで行ってくれ!!」

「そうしたいのは山々なんだがこの花開院の方々が出してくれないのさ
せめて二条城の写真だけでも」


と部屋の出口を見張る花開院の陰陽師に清継は不満をぶつけている。
少々騒がしい。

その時、突然屋敷ごと揺れる大きな衝撃と音が辺り一面に響き渡った。
揺れにより部屋にいた清十字団もその辺の大きな家具に捕まり体勢を整える。
京妖怪の襲撃により屋敷の電気配線が切れたのか部屋の電気が切れる。


「て…停電!?」

「何が起こってんのよー!!」

「ここ…なんかもうやばいんじゃないか?
建物自体」

「外で妖怪に襲われるのもイヤー!!
建物に潰されるのもイヤァァー」


鳥居と巻が路頭に迷ったように部屋内を落ち着きなくさまよう。
不安でリクヤ達も顔を見合わせる。

しばらくして外からの戦闘音は聞こえるものの、屋敷が攻撃され、部屋が揺れるということが少なくなった頃、へやの入口の戸を開け春光がリクヤを呼んだ。


「おい、リクヤ。
俺は京妖怪…今来てるのは確かしょうけらだな……そいつらと戦ってくるから、この部屋全体に結界張っといてくれ
今にも潰れそうだ
じゃあな!」


物凄い早口でそれだけ伝えると疾風の如く走り去って行った。


『……この部屋に結界を??
え?大きいな??』


あとに残されたリクヤは嘘でしょ?とでも、言いたげな顔で春光のきえたほうをしばらく見つめた。
しかし、部屋の天井からパラパラと土埃や瓦礫が落ちてくるこの状況であるので、あながち結界を張るのも無駄ではないかもしれないと考える。


『清継ぅ!!
みんなを部屋の中心に集めとけ!!』

「え、うん」


リクヤは踵を返し部屋の中心……ソファがあった辺りに向かう。
中央に集められた清十字団を一瞥し、リクヤは結界を貼り始める。
春光のように初めから大きい結界を張るのは無理であるので、まずは全員がギリギリ入る大きさに張り、そこから拡大させて行く。
ジジっと音を立てて結界が広がっていく。


「ぉ、おぉ!!!凄いぞ!奴良くん!!
土埃が落ちてこないぞ!!
流石だなぁ!!」


と清継がリクヤの肩を叩く。


『あの、ちょっと清継!静かにしてくれないか!!集中、出来ない!!!』

「あ、そうだね、ごめんよ奴良くん……」


額に汗を滲ませながら、いつも以上の剣幕で端的にたしなめる。
ぱっと手を引いてカナの横に清継が戻る。

リクヤは集中をさらに結界に向ける。
結界が弱くならないように均等に、強く大きくしていく。
あと少しで部屋全体に結界が行き渡る。
そろそろ集中力もギリギリだが、あともう少しだと振り絞って結界をなんとか貼り終えた。
先程の練習では結界を張り終えて安心しても、結界を崩さないように訓練していたが、些か結界が大きいせいで、ほんの少し息を吐いただけで結界の端が歪んでしまった。
慌ててその歪みに集中して直そうとすると今度は別のところが手薄になるなどかなり大変で、知らないうちに肩に力が篭っていた。


「リクヤ、肩に力が入ってるよ
集中」


リクヤの肩にリクトが手を添える。
ふっと肩の力が抜け、結界を張るのが楽になり少し余裕を持てるようになった。
肩に力が入っていた時よりも滑らかで頑丈な結界張ることが出来たのだった。
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