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□モノクロ 1
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「メアリー、久しぶりね」
今日はベルーーベルモットに車で学校まで送ってもらっている。彼女とはずっと会えていなかったから、とても嬉しい。少し意地悪だけどとても優しいベル。ずっと私のお姉さんのような存在だ。
「ほんとにね、久しぶりベル。会えて嬉しい!」
慣れた様子でハンドルを握る彼女は、とても様になっている。女優だから当たり前だけど…女の私から見てもドキッとするような魅力がある。私の言葉ににこりと笑ったベルの口紅は、上品なコーラルピンク。校門の前まで姿を見せるからにはさすがにいつもの真っ赤な口紅ではまずいと思ったのだろうか。

ベルはもともと目立つから、意識して抑えなきゃとっても目立っちゃうもんね。

「ねえベル、その口紅の色、珍しいね。いつもの赤も似合うけど、私その色も好き」

ベルはきょとんとして私を一瞥した。ふっと微笑み、おかしそうに喉を鳴らす。

「……あーら、気付いたのはあなたが初めてよ。最近たまに使ってたけど、誰もそんなこと言ってくれやしないわ」

呆れたように笑う彼女は肩をすくめて溜息をついた。

「たしかに、あの人達がそんなこと言ってるところ想像つかないかも……ん?」

つられて笑った私の唇に、ベルの人差し指がピタリとあてられた。

「今日は1日オフなの。帰りも迎えに来るから、同じ色買ってあげるわよ」

「本当に!?」
「ええ」
「似合うかなぁ」
まだまだ子どもだし……と呟いた私を見て、ベルは吹き出す。
「あんな一丁前にこの私の事を口説くあなたが、子どもなわけないでしょう」
「え、ちが!そんなつもりじゃ!」
思わぬ解釈をされていたことが判明して、慌てて首を振る。そんな、大物女優のシャロンを口説くだなんて恐れ多いことできるわけがない。焦る私を見たせいかわからないが、ベルは唐突にハッとした瞳をした。

そのままサイドブレーキを弾き、私を見た。

「……そうね、ほんの冗談よ。あなたはまだまだ私の可愛い妹。ずっとそのままでいて」

彼女はそう言って私の額にキスをした。

「Good knight……mary」

「……ベル、まだ夜じゃないよ」

「そうだったわね、さ、行ってらっしゃい。あ、あと」

「ん?」

「あなたにはもっともっと少女らしいベビーピンクの口紅の方が似合うかもしれないわね」

「そうかな?ベルが選んでくれた色ならどれもきっと素敵だよ!」

「またお世辞が上手い子。see you again.」

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